広報広聴委員会・視察報告(埼玉県戸田市・福島県会津若松市)
視察先:埼玉県戸田市
視察テーマ:⑴議会だよりの編集発行について ⑵議会モニター制度について
1 調査内容をどう評価するか・議会だよりの編集発行について
議会報コンクールに入賞した各市議会だよりの長所を「いいとこどり」で取り入れているとのことで、フルカラーで大変に読みやすい紙面となっている。コラム、「つぶやき」の挿入など随所にアクセントを置き、タイトル配置などページレイアウトも親しみやすいものとなっている。ページ端のタブもアクセスを容易にしていて好ましい。
議会モニターや読者参加のクイズなど、議会だよりの紙面についての意見を吸い上げる仕組みができていて紙面のレベルアップの契機となっていることが優れている。
全般に若者に受けのいい紙面づくりを目指す方向性を感じる。同列には並べにくいが、小中学生による題字、高校生議会の開催、「議会を知っtoco」など、若い層へのアプローチに工夫が感じられる。先に挙げた若い層は選挙権を持っていない層ではあるが、この人たちの興味から家族内での会話につながったり、その層が選挙に参加する将来に市政への関心が高まっているなどの効果も考えられる。
・議会モニター制度について
議会運営に関する市民からの意見/提言を受け入れるためのモニター制度を導入しているが、大きくは@15人を予定したモニター人員の応募が少ない、A提出された意見が議会自体に関するものでないなど、若干かみ合っていない部分がある、の2つの課題を抱えている。
@本会議、委員会をすべて傍聴するのは一市民として若干負荷が重いとは思うが、たとえば地区で1名選出してもらう、など委嘱の方向で考えられないものだろうか。A意見の質や方向性のミスマッチについては趣旨がモニター員に浸透すればおのずから解決するものと考えられる。
2 本市に反映できると思われる点
・議会だよりの編集発行について
「若年層へのアプローチ」「読者からのフィードバックの仕組み」はぜひ本市でも取り組みたい。
既にある程度進んでいると思うが、他市の優秀広報の「いいとこどり」は今後も進めるのがいいと思う。
・議会モニター制度について
議会に対して市民のダイレクトな見解を得られるという意味で議会モニター制度は大変有用な制度であると思う。うまく回るような制度を創出できればいいと考える。
3 その他(感想、意見)
・「知っtoco」のいくつかのコンテンツを見てもわかる通り、戸田の議会だよりは、読者を「議会について何も知らない」レベルから想定して編集されている。その編集方針は上で「若年層へのアプローチ」として取り上げた印象とも関連していると思う。その編集の視点は我々藤枝市議会だよりには案外欠けていたものかもしれないと感じた。つまり読者をある程度市議会をわかっている人たちとして捉えていたが、それは少しアプローチとしてずれていたのかもしれない。今後は読者の視点というものをもっと意識して編集にあたりたい。
・会津若松の視察においても共通に感じたことであるが、広報広聴委員会の熱意は広報に自ずから現れてくるように思う。本市広報にも広報広聴委員会の熱意・力量が反映されると思うと、副委員長として身が引き締まる思いである。広報編集を含め、これまで以上に広報広聴の業務品質向上に向け努力したい。
視察先:福島県会津若松市
視察テーマ:⑴声の広報議会について ⑵議会広報誌について ⑶議会報告会について
1 調査内容をどう評価するか
・声の/点字広報については利用者がいて必要とされているのであれば必須と思う。
・「広報議会」は親しみやすい紙面だと思う。戸田市と同様、表紙に内容が記されていることは読者への内容紹介としてわかりやすく良いと思う。表紙写真を子供のシリーズにしているのは見た感じも微笑ましく、掲載された園児、その親・祖父母たちのコミュニティの話題となることで広報へ関心を持つ方が増えるという効果があると思う。
・60名からなる広報議会モニターの設置は良い取組と思う。読者の声を取り入れる仕組みは重要であり、この制度の今後の成り行きを見守りたい。
・「市民との意見交換会」は足掛け10年20回を数えるとのことで、かなり洗練された仕組みができている。政策形成のダイナミックなプロセスの中に「市政への市民の参加」がうまく組み込まれていて素晴らしいと思った。また、このシステムの中の議員による「政策討論会」もユニークな会議であり重要な役割を果たしている。
2 本市に反映できると思われる点
・声の/点字広報は本市においても取組があるので維持すべきと思われる。一層のバリアフリーの取組としては議会のライブ画像でも手話通訳あるいは字幕のサービスがあることが望ましい。
・広報については表紙、内部レイアウトなど参考にすべき点はいくつかあると思われる。検討を進めたい。
・広報モニターの制度については、類似でいいので読者の見解を取り入れる方策を取り入れたいところである。意見や感想、雑感などSNSなどの方法も含め投稿の仕組みを考えていきたい。
・意見交換会については全体のシステム、年2回の開催、各15地区、テーマ設定、担当班の設定、広報委員会の調整としての役割など多くの点で大いに参考になった。今後本市のタウンミーティングにも取り入れるべきところを検討していきたい。
・議会運営自体に関わるので広報委員会では完結しない命題ではあるが、意見交換会を含む「政策形成サイクル」のあり方を大いに参考にして、本市でも政策形成に取り入れていきたい。
・詳しい説明はなかったが「会津若松議会白書」は手引書として議会の内容を周知するのに好適な冊子だと思う。本市でも数年に1度でいいので発行/配布することを考えたい。(本市にも同様のものがすでにあるのなら存じませんでした。申し訳ありません)
3 その他(感想、意見)
・Aで書いた通り「会津若松議会白書」のような、議会を全く知らない方に種々周知する施策は大変重要に思われ、方法を検討していきたい。無関心な層へのアプローチは結果的に市政への関心を高め、選挙における投票行動につながってくるものと期待される。
・戸田市の視察においても共通に感じたことであるが、議会と市民とのコミュニケーションにおいて広報広聴委員会が果たしている役割は大きい。広報編集を含め、これまで以上に広報広聴の業務品質向上に向け努力したい。特に市民の視点を強く意識して業務にあたりたい。
・会津若松市は会津大学やIT企業の工場を擁し、スマートシティを標榜している割には広報関係におけるIT化があまり感じられなかったのはやや意外であった。議会広報活動をもっとIT化することはできないだろうか? 今後の課題としたい。