■前橋市議会・羽村市議会の広報広聴の取り組み 報告者:遠藤久仁雄
視察先(1):群馬県前橋市議会
研修テーマ:広報広聴戦略プランについて
1 調査内容をどう評価するか
ア 市民目線の広報(市民にとって分かりやすい広報)を目指すためには。
・伝えたいことを明確にする。
・「当然知っているだろう」という一方的な意識を排除する。
・行政用語は平易な用語に置きかえる。
・視覚的要素を多く取り入れる。
・どうすれば関心を持ってもらえるか、常に意識する。
イ 広報媒体の使用について
・月2回発行の『広報まえばし』、市ホームページ、ソーシャルメディア(フェイスブック、ユーチューブ)、FMラジオ、テレビなどがあるが、市民アンケートの結果から、89.9%の市民が『広報まえばし』から情報を得ているという事実が判明しているので、そこに力を注いでいる。たいへん読みやすい広報紙になっている。
ウ 災害時における広報活動
・災害発生の初動時における正確かつ速やかな情報発信が大切である。
・災害の状況変化に対応した様々な広報手段を効果的に用いる。
・インターネットの有効活用と共に、インターネットを使えない人に配慮した情報発信(紙媒体など)を行う。
・ヤフー株式会社との協定内容を、適宜市民に周知する。
・練馬区とのホームページの災害時相互応援を設定し、市民への周知を図る。
2 本市に反映できると思われる点
前橋市では、広報紙としての効果を挙げるために、「すべての情報を均一的に広報」するのではなく、「テーマを絞り、重点的に広報」している。そのテーマとなる写真をトップページに使い、2ページ以降にその関連記事が続いていく。それにより読者がスムーズにページを追って読んでいけるような工夫がされている。写真も多くきれいで、全体に読みやすい広報となっている。また、随所に市民に呼び掛けるような文が見られ、市民からの声に耳を傾けようとする積極的な姿勢が感じられました。このように分かりやすい広報に努め、かつ市民からの声を進んで取り入れようとする姿勢は見習いたいものだと思いました。
3 その他(感想、意見)
今回の視察は、市の広報主管課担当者からの説明であった。市民アンケートに基づき
広報活動の具体的戦略を定義し、市民のための広報広聴活動を行っている。広報紙も素晴らしい内容であった。一方、資料として頂いた「市議会だより」を見ると、『広報まえばし』との違いが歴然としていて、残念に思いました。こちらは年4回発刊ながら、ボリュームは僅か12ページであり、市議会の内容を30万市民に向け十分に伝えられているのか疑問に思いました。
視察先(2):東京都羽村市議会
研修テーマ:市議会だよりと広報全般について
1 調査内容をどう評価するか
ア 市議会だよりのリニューアル
開かれた議会を目指すため、まず従来の魅力が低い紙面を、「分かりやすい」「読み
やすい」「親しみやすい」ものとするため、平成16年から研究を始めた。近隣の先進
市である「あきる野市議会だより」等を参考にさせてもらい改革を進めた。平成25
年2月号から、市議会だよりのサブタイトルを『ぎかいのトビラ』とし、内容の刷新
に取り組んだ。市民が登場する機会を設け、市民インタビューを実施した。また全体
として、若者や女性を対象に、フリーペーパーの雰囲気を出して変化を印象付けた。
イ 市民インタビューの作り方
市民が登場する企画で親近感を生み出している。市内で活動している団体を紹介して、市民の笑顔で読者の気持ちを惹きつけようという試みである。毎回の選定には3つの常任委員会が交互に取り組み、議会事務局の力も借りながら日程・会場等の調整を進め、議員自らがインタビューを行っている。インタビューの記録は議員が、写真撮影は事務局がそれぞれ分担している。これにより市民と議員が直接交流することになり、市民活動の現状を知ることができる。また、市民団体の方も、この体験により、一層活動に力が入ることになるようである。
2 本市に反映できると思われる点
・羽村市では、市議会だよりのリニューアル後も、『ぎかいのトビラ』に関するアンケート調査を実施している。なかなか厳しい回答もある中、さらに積極的な見直しを行おうという姿勢は素晴らしいと思う。
・『ぎかいのトビラ』に掲載されている「しぎかいカレンダー」は一目で定例議会開催中の議員の活動が理解しやすい内容のように思える。活字が多い本市の議会だよりであるが、こんな改善ならたやすくできるのではないか。真似させてもらっても構わないのではないだろうか。
・『ぎかいのトビラ』紙面の余白部分の使い方が効果的で、見やすいと感じました。
・視察の受け入れに関しての感想ですが、羽村市の皆さまは、たいへん暖かく私たちを歓迎してくださりました。多くの広報委員や関係者が対応してくださり、温かい雰囲気の中でみんなで勉強し合おうという姿勢を感じました。おもてなしの心も含めて、このような姿勢を見習いたいと思いました。
3 その他(感想、意見)
・羽村市庁舎内に、TV番組収録用のスタジオが設けられていて、そこで自由にインタビュー等の番組を作ることができるようになっていることに驚いた。実際、議員の手で市議会傍聴のためのデモテープを制作し、ケーブルテレビで何回か流していた。地元ケーブルへの加入率も非常に高いとのことで、有効であると感じた。本市では、ケーブルへの加入世帯は極めて少ないので参考にしかならないと思われるが。
(文責:遠藤久仁雄)