■飯田市議会・新城市議会の広報広聴の取り組み 報告者:遠藤久仁雄
視察先(1):長野県飯田市議会
研修テーマ:議会改革における広報広聴活動について
1 調査内容をどう評価するか
ア 小学校への出前講座
市内のМ小学校の校長より、市議会議員による出前講座を実施してほしい旨の依頼があった。これを受けて、平成26年度に広報公聴委員会委員が学校訪問し、6年生の4学級を対象に出前講座を実施した。なお、同様の講座を27年度、28年度と継続して行っている。いずれもМ校のみでの実施である。全体会・学級での授業(小グループ)や交流給食に参加した。実施後の感想や意見としては、「子どもたちが地域のことを考えるきっかけになったのではないか。」「小学生に理解してもらうには、困難があった。」などが報告された。子どものころから行政や議会に関心を持ってもらうことは大切な事であるとの認識をしているが、今後の課題としては、М小学校だけの出前講座で良いのか、複数の学校から希望があった場合にどのように対応していくのか、また学校以外の市民団体も対象にした「出前講座実施要綱」を策定する方向で準備していることなどがあげられた。
イ 議会報告会
平成20年度から実施の、歴史ある取り組みである。各ブロックの6会場で日をずらして行っており、毎年500名以上の参加者がある。(本年度は、554人の参加者から383の意見が出された。)報告会の形態は、全体会の後、3常任委員会のグループに分かれ、それぞれのテーマに沿って意見交換が行われている。そしてこの意見等を常任委員会へ振り分け、常任委員会では問題点の中から課題を設定し「調査・研究」や「行政評価」の対象となるものを確認する。その後は調査・研究等を行い政策提言したり、まちづくり委員会へ方針案を提示していく。このように市民の意見を施策に反映しているのが特長であると感じた。課題としては、若年層及び女性の参加を増やすことと、分科会テーマを設定する一方で、地域の課題が話し合われにくいという問題が見られている。
ウ 市議会だより
毎回多くの議員が一般質問を行い、最近号でも23名の議員中、19名の議員の質問が掲載されている。スペースが多く取れない中、工夫した見やすい内容となっていた。
2 本市に反映できると思われる点
・学校への出前授業(議会からの押し付けになってはいけない。学校側からの要請があれば行うべきだと考える。)
・タウンミーティングに於けるグループ別の意見交換と、テーマ設定。
3 その他(感想、意見)
平成27年から新庁舎に移り、議場も一新された。左右対面式(正面に議長席、議員と執行部が向かい合う形の配席)で、緊張感ある議場である。傍聴席からも近く、これでは議員はあくびも出来ないほど、一挙手一投足を見られている感じがした。
平成24年にマニュフェスト大賞の最優秀成果賞を受賞しているだけあって、議会改革への取り組みを見ても、すでに平成14年ごろから具体的に着手し、その後も継続して様々な改革を進めている。
視察先(2):愛知県新城市議会
研修テーマ:議会改革における広報広聴活動について
1 調査内容をどう評価するか
ア 議会報告会
・新城市議会基本条例第10条2項に基づき、「新城市議会報告会実施要綱」を制定している。この中には、実施時期や場所、さらに報告会を市内の9カ所以上で行うこと等が記されている。
・議会報告会は平成24年から開始。28年度は2班体制で、5日間、10会場で実施。いずれも平日の夜7時30分〜9時までの開催である。50代、60代、70代がほとんど。女性の参加は少ない。
・議会からの報告が長くなって、時間が足りない様子でした。
・政治倫理審査会の報告を行っている。この場での報告は適さないと思う。
イ 議会だよりの更新
・従来の魅力が低い紙面を、新人議員の発案と実行で魅力ある読みやすい議会だよりに編集しなおしました。レイアウトや配色等の工夫により、確かに読みやすくなりました。議員の写真も生き生きしていいですね。
2 本市に反映できると思われる点
・本市のタウンミーティングは9月議会終了後に4会場で行っているが、別の時期にもう1回行い、会場数を8会場位に増やすことを考えたらいかがか。
3 その他(感想、意見)
・議会報告会の中で、政治倫理審査会の資料が配られ、質問を受けていました。そして出席者からの感想の中には多くの批判が見られました。「議員がお互いに揚げ足を取り合って審査請求・・・。倫理審査会の訴訟合戦は情けない・・・。」等です。視察の冒頭、新城市議会には会派が存在しないという説明を聞き、地方議会としては理想的だなと感銘を受けました。しかし実態は内部対立が見られるようで、それを議会報告会という場で話題にしなければならなかったのでしょうか。実態を包み隠さずに報告する姿には敬服しますが、ここではもっと市民の皆さんに直結したことについて話し合った方が、充実した報告会になったのではないかと思いました。しかし別の見方をするならば、ここまであからさまに倫理審査会の中身を公開することとしたのは、市民に対する何か強い責任というものがあったのかと想像しました。つまり報告しなければならない大切な何かがあったのかと。きっとそうに違いありません。そこまで考えて自分が質問できなかったことが、後で悔やまれました。
・若者議会(Youth Parliament)
新城市長が3期目の公約で若者政策を掲げたのが出発。「若者政策ワーキング」を立ち上げ、市役所職員を含め19名の市民で活動を始めた。世界中のニューキャッスルを意味する市が集まって2年に一度交流をしている。現在では、若者議会から「お喋りチケット事業」など6つのアイディアが出され、市長へ答申され活動を続けている。若者はまちにとって資源である。若者議会が若者自身の成長の場になっている。波及・変革など他の市民へ良い影響を与える。このように若者政策に可能性を見出し、力を入れている。