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■議会運営委員会の行政視察(平成28年7月27日・28日)報告 委員:平井 登

■三重県鳥羽市・大阪府枚方市の議会改革の取組み 報告者:平井 登

視察先(1):三重県鳥羽市議会
研修テーマ:議会活性化-議会改革への取り組みについて


・議会と公立図書館との連携について
・議会図書室の利活用推進について


1 研修内容に関する評価・意見
 地方自治法(第100条第19項)では、議会の調査活動の知的基盤として「議会図書室」の設置を義務付けています。とは言え、藤枝市議会図書室もそうですが、ほとんどの自治体図書室では、古い法令集や会議録、所管事務調査報告書類が書棚に並ぶだけで、議会に求められる行政監視や政策提言・立案に必要な情報源(書籍類)は無いに等しい状況にあります。
 そのような中、先進自治体として上位ランクされている鳥羽市議会の取り組みに、「議会図書室と市立図書館および県立図書館との連携」があります。この取り組みは、平成25年8月からスタートされていますが、同議会におけるI T化推進と相俟って議会および議員の情報収集力向上に極めて有効と考えられ、次の4点をメリットとして列挙します。
@議会図書室では、議会および議員が求める図書について、私立図書館ないし県立図書館から貸し出しを受けることが可能となっている。
A議会および議員が必要とする資料について、両図書館の司書によるレファレンスサービスを受けることが可能。これには、べテラン(8年目)の議会事務局職員がファシリテーターとなって、図書館司書の調査能力を最大限活用することができる。
B図書館司書の情報収集力は、行政執行部に無い情報(例:執行部には不都合な施策の失敗事例など)が得られ、議会の調査機能と審議に厚みを増すことができる。
C議会図書室には、タブレットを利用して調査研究するためのパーソナルスペースが1 0席ある(議員定数1 4人)。議員はタブレットを持ち込み、有料の民間データベース・時事通信社「iJAMP」を利用して必要な情報を検索・入手することができる。(費用: 36万円/年)

2 本市の議会運営・活性化に反映したい内容と具体例
 本市議会においては平成2 7年1 1月より議会のI T化推進に取り組まれ、議員2 2名にタブレット端末を配給していますが、その機能を有効活用するためにも鳥羽市議会の取り組みは大いに模倣すべきと考えます。
 鳥羽市議会と同様に、藤枝市立図書館および静岡県立図書館と連携され、議会および議員が求める図書の貸し出し機能、そして両図書館司書によるレファレンスサービスを受ける機能を議会事務局に付与していただければ、議会・議員の情報収集力は飛躍的に高まると考えます。そのためには、議会事務局に図書館司書と緊密なる連絡・連携事務が行える有能なファシリテーターが求めらます。



視察先(2):大阪府枚方市議会
研修テーマ:議会活性化への取り組みについて


・議会基本条例の取組み状況とその検証について
・議会改革調査特別委員会の取組みについて
・通年議会、予算・決算特別委員会の運営について


1 研修内容に関する評価・意見
■議会基本条例の取組み状況とその検証について
 枚方市は平成26年4月1日に中核市に移行され、その権限が大幅に拡大されることに伴い議会機能のさらなる充実・拡大の必要性を踏まえ、「市民に信頼される議会」、「議会のあるヘき姿」を示した最高規範として、『枚方市議会基本条例』を制定されています(条例は、第1章第 1条から第10章第36条まで)。また、箇条を追って順に条文の意味を解説された逐条解説が付加されており、より具体性を求める意識が窺えます。
 条例施行から2年経過した本年度8月以降には、その取組状況と成果の検証作業を予定されていますが、逐条解説により具体の状況把握と検証ポイントが明確化できるのではないかと思います。

■議会改革調査特別委員会の取組みについて
 『枚方市議会基本条例』制定に前後して、平成23年6月に「議会改革調査特別委員会」(任期4年)が設置され、制定後の平成27年6月定例議会において、「議員提出議案第1号議会改革に関する調査について」が可決され、引き続き「議会改革調査特別委員会」が設置されています。その目的は、議会改革の方向性と議会の組織、運営などのあり方を調査するものとあります。調査は、同委員会の委員8人(議員定数の1 /4)により、議員の任期末日までとされ、閉会中も継続して調査を行うことができるものとされています。
 『議会基本条例』の有効性を実証し、改革すべき課題を検出・改善される意味でも、本委員会の存在意義は極めて重要なものと評価するとともに今後の活動に注目したいと思います。

■通年議会、予算・決算特別委員会の運営について
 『枚方市議会基本条例』第9条では、「議会は、定例会の回数を年1回とし、会期を通年とする」と明文化されています。これまで3か月ごとに開かれる「定例会」か、必要に応じて開かれる「臨時会」により、提案される議案について審議を行ってきていますが、定例会・臨時会の開会手続きに時間を要することや議会の閉会中に、市長による専決処分が行われることなどの課題がありました。
 会期を通年とすることで、議長により速やかに本会議を開くことができ、災害などの突発的な事件や緊急の行政課題に対応することができる、となっています。また、通年議会とすることで、常任委員会はじめ予算・決算特別委員会の活動も活発化され、より慎重な議案審査や専門的な調査を行うことが可能となる、ともあります。
 同市の通年議会における具体の運用効果として、最近生じた清掃工場のポイラー不具合と、その対処策(ポイラー交換)についての議案が本年9月に臨時会として上程されるようです。

2 藤枝市の議会運営・活性化に反映したい内容と具体例
 本市においては、枚方市と同時期の平成26年4月に『藤枝市議会基本条例』が制定されています(条例は、第1章第1条から第10章第23条まで)。しかし、本市では、逐条解説が付加されておらず、箇条の解釈が漠然となりやすいのではないかと感じました。出来れば、議会改革特別委員会において、逐条解説を作成していくことも有効ではないかと考えます。また、『議会基本条例』の実効性および取組み状況についての調査、検証も当然のことながら必要であり、早急な取組みが求められるのではないでしょうか。
 通年議会については、議員のプロ化に資する点が最大のメリットになるかと考えています。市民の厳しい視線と評価に、これから如何に議会は議員は応えなければならないか。常に市民と共に市政を調査チェックし、評価し、提言等を推進していくためにも通年議会は有効であり、今後、全国の自治体でこの傾向が進んでいくと思われる中、本市議会においても早急に検討すべきだと考えます。