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令和元年度上期「総務文教委員会」行政視察報告(委員:増田克彦)

■視察先:福岡県大野城市/福岡市(2019.7.30〜31)報告者:増田克彦

視察先1:福岡県 大野城市
視察テーマ:総合窓口の運営について

@取り組みの経緯・内容
【井本市長の強い意志に基づく窓口サービスの改革】
◆週末窓口サービス
-毎月第2・4土曜日9:30-12:30まで窓口サービス
*加えてコミュニティセンター窓口は平日9:00-21:00(夜間まで)
◆コールセンター
年間365日8:00-21:00 受付。
-市民のニーズに応えるとともに、担当課の負荷が減る効果もある。
◆総合窓口「まどかフロア」ワンストップサービス的な運用。
-フロアマネジャー(接客:外部業者)を配置
-申請書様式を簡略化(1種類の書類でOK)
-呼出ボタンの設置(レストランの呼出ボタンのようなもの)
-証明、異動受付、国保・年金、福祉などすべて同一フロア内で手続き完了
-簡易申請端末機(レストランの食券販売機のようなもの)←磁気式の個人カード利用

→様々な局面でお客様優先が徹底されていて、役所側の都合を「お客様」に負担させることのないように配慮されている。この実現のために行政側の縦割りを取り払って相互のサービスを乗り入れるような工夫がなされている(例、戸籍の証明と税証明を一括でとれるなど)。これはトップダウン(市長の強い意志)だから可能になったことである。

A今後の課題
・窓口業務、入力業務は外部委託であるため委託の制約で若干の不都合は生じるようだ。
・個人カードが便利に使えるためマイナンバーの普及はあまり意味がない。

B本市に反映できると思われる点
・週末、及び平日夜間の窓口サービス、365日運用のコールセンターは利用のお客様にはありがたいと思う。ぜひ検討していただきたい。
・簡易申請端末機はお客様にとって便利であり、しかも省力化も図れて有意だと思う。
・ワンストップサービスはできる限り取り入れたいところだが、特にワンフロアサービスについては庁舎内配置の制約など課題は多そうである。

Cその他(感想、意見)
お客から苦情が来る前に利便性の改善が自然とアイデアとして現れてくるようになったそうである。日本生産性本部出身の市長の肝いりということもあって、顧客志向の理念が洗練されているとともに、その思想が職員によく浸透していることが感じられた。
顧客満足度のために多少のコスト増はやむを得ない、とする覚悟にも感銘した。これも市長の強い意志があってこそということである。

視察先2:福岡市
視察テーマ:福岡市実証実験フルサポート事業 「キャッシュレス」プロジェクトについて

@取り組みの経緯・内容
・公共施設の支払い
-博物館、動植物園、福岡タワーなど7か所。
→主にLINE Pay。WeChatPay、Alipayの中国系もOK。

・民間施設
-屋台、飲食店、モール・空港内店舗、タクシーなど。市内約900ヵ所。
決済方法:楽天ペイ、LINE Pay、PayPay、Amazon Pay、Origami Pay、YOKA!Pay、
WeChatPay、Alipay
実証実験における行政の役割: 店舗に決済会社を紹介/仲介することで普及を促進した。

A今後の課題
・ 完全キャッシュレスの実験がされたということだが、レジ締め時間の短縮など予想されるメリットはあるものの、顧客の決済方法の選択肢を狭めるというデメリットは大きいと思われる。
・ 店舗によって決済会社(支払いアプリ)が異なるということで消費者は様々なアプリを使い分ける必要がある。この解決に向けたQRコード統一については下記。
・ 決済会社ごとに書式の異なるQRコードを総務省が主導で統一するという動きがある。これはメリットが大きいと思われる。
・ キャッシュレスによるメリットを享受する顧客が増えていくのとうらはらに、そのコストは高齢者など買物弱者に転嫁されることになりかねない。
・一般的にセブンPayの不正支出の影響やBitCoinなど仮想通貨への不信など、導入への心理的障壁は結構高いと思われる。

B本市に反映できると思われる点
・ 店舗などと決済会社の間での直接交渉では導入に比較的抵抗があるようなケースであっても、行政が間を取り持つことで導入がスムーズに進んだという件である。本市のIoT導入などにもすでにそういう側面はあると思うが、今後も類似の件では福岡の手法を反映していければいいと思う。
・ WeChatPay、Alipayの中国系決済に対応している点は中国人観光客の多い福岡市ならではの優れた取組だと思う。インバウンド来訪者のために取り入れるべき観点である。また、このためには外国人のWebアクセスのためのWiFi整備も不可欠である。

Cその他(感想、意見)
・この実証実験で福岡市が「フルサポート」と称して果たした役割は興味深い。本市でもこのような先駆的な実験の成果を取り入れて市民の利便性を上げていきたい。
・この実験においては人件費以外のコストはほとんどかかっていないということも興味深い。