羽生市の人口減少問題対策に学ぶ
令和元年度の会派視察テーマを、「人口問題への対策」に絞り、去る2月7日、羽生市役所を訪ねました。羽生市は埼玉県の北東部に位置し、東京から北へ約60q、人口約5万6千人、面積約59平方キロメートルの豊かな自然に恵まれた小さな都市です。
ご対応いただいた企画財政部企画課長の清水昭雄様より、羽生市の研究をまとめた「人口減少問題対策に関する提言書」に沿って説明をいただき、質問をしましたので、その一部をご紹介させていただきます。
主な「質問&応答」
@平成26年、全庁挙げて人口問題対策に取り組んだ時の状況を教えてください。また、メンバーの役職はどのような構成でしたか。
(答)当時、市長からの指示で「人口減少問題対策のプロジェクトチーム」を立ち上げた。メンバーは14名で全て課長職である。
Aアンケートからは、羽生市に移住された方の多くは、結婚のため新築・中古住宅を購入されたようです。他市と比べ、何か特徴的なことが見られますか。
(答) 結婚による転入者は全体の30%。転入者のうち、新築・中古住宅を購入した人は31%。他の市町とほぼ同じ状況だと思われる。
B羽生市は「自然環境に恵まれ、安全・安心に暮らせるまちである」といった評価が高いと感じました。一方で「通勤・通学に不便。医療機関が充実していない」などの不満もあるようです。どのような対策を講じておられますか。
(答)東武伊勢崎線の北千住駅までの直通運行や東武特急「りょうもう号」の久喜駅からのJR乗り入れの要望を行った。医療については、平成30年5月に、羽生総合病院を改築オープンした。
C施策・事業提案を5つの分野、19の事業にまとめられました。このうち実行に移された主な事業は何でしょうか。
また、その中で、特に取り組み効果が期待される事業を紹介してください。
(答)三田ヶ谷地区における『羽生チャレンジファーム計画』では、東北自動車道・羽生インター近くの「水郷公園」に隣接した農地を生かし、観光農園や生産から加工・販売まで行う6次産業の拠点、AIを導入した次世代農業に取り組む企業を誘致するなどしてファーム全体で稼ぐ農業への変革を目指している。
Dこれらの取り組みに関し、議会側からの反応はどのようなものだったでしょうか。一般質問などを通して、移住・定住に関して、執行部側に質問や提案はなされたのでしょうか。
(答)学童保育の充実、保育料の無償化、児童館の新設、企業誘致等が質問に上がった。
【感想】羽生市では、平成26年度から14名の課長によるプロジェクトチームを立ち上げ、人口減少問題対策の研究に取り組みました。このように部課を横断しての取り組みにより、各々が共通の問題意識を持つことによって、その後の施策に反映されたものと思われます。羽生市は藤枝市の約4分の1の面積ですが、山は全くなく、見渡す限り平地で、田園が多く存在しています。羽生駅周辺も非常にのどかで、大変落ち着きのあるまちでした。埼玉県といっても、ここは決して都会ではなく、住民アンケートの通り東京へ向かうには交通の便が悪いと実感しました。しかし、不便さや田舎らしいところが、かえってこの町の魅力であると感じられました。今後独自の事業を成し遂げることによって、羽生市は埼玉県で一番住みやすく、可能性を持ったまちになれると感じました。