■静岡まるごと移住フェアの藤枝市ブース等を視察しました!
「静岡まるごとIJU(移住)フェア」視察報告
志太創生会 視察者:遠藤 久仁雄・平井 登・増田 克彦
日時 平成31年1月12日(土)
会場 東京交通会館12階「ダイヤモンドホール」
主催 静岡県、ふじのくにに住みかえる推進本部
共催 出展市町、NPOふるさと回帰支援センター
1 はじめに
全国的に問題となっている都市圏への人口集中に対し、地方への人口流入を働き掛けるため、静岡県と31の市町が協働で本フェアを開催した。県中部では本市の他、静岡市、島田市、焼津市、牧之原市、吉田町、川根本町が参加し、各ブースごと職員が来場者に対応した。また、特設会場では、セミナーやトークショーが開かれ、移住に関する知識や情報、移住体験者からのアドバイスなど貴重な話を聞くことができた。志太創生会では、来年度の政策提言のための恰好の研修の機会ととらえ、本フェアへの参加を決めた。
2 セミナー&トークショー
@県内各地域の紹介
静岡県を、「伊豆地域」「東部地域」「中部地域」「西部地域」の4地域に分け、それぞれのエリアごとに代表担当者が映像を交え、地域の良さをPRしました。改めて、静岡県はどこも気候温暖で自然豊か、景観に優れ、都会を離れてのんびりと人生を楽しむのに適した土地だと納得しました。移住フェアに訪れた人が、静岡県にさらに高い関心を持っていただければと願いました。因みに、中部地域については、こんな風に紹介されていました。
・日本平、大井川鉄道、寸又峡などの魅力的な観光地
・温暖な気候と豊かな自然環境
・極上の日本酒の宝庫
・自分たちが作ったお米、野菜で自給自足の生活をしている人がいる。
・移住者の紹介
(静岡市の中心市街地でお店をオープン、趣味のサーフィンを楽しみ、ゆったりした生活をおくる。)
Aファイナンシャル・プランナーが語る静岡暮らしの家計
・静岡暮らしの魅力(自然、気候、人柄が温厚、通勤時間が短い、家賃安い、土地代安い広い)
・暮らしにかかるお金は(地産地消の野菜豊富、外食代は首都圏と大差ない)
・田舎暮らしに車は欠かせない。
・移住の費用(引っ越し代、家具等の運搬費が必要)
・子育て世代は収入の確保が必要(就労環境を調査する必要)
・移住先の子育て環境を確認しておくことが大切
・中古物件はリフオーム代が必要、新築も諸経費が掛かる
・自治体の定住を支援するための制度を確認しておくこと
・セミリタイア―者へ(早期退職後のマネープラン、生活インフラの確認、
中古物件の場合はリフォーム代、車関係の費用、マネープランの必要)
・移住に必要な三大要素「資金計画」「健康」「生きがい」
B漫画家「瀬戸口みづき」トークショー(略)
C子育て世代向け!田舎暮らしVS地方都市暮らし
田舎暮らしを始めた藤枝市在住の「古藤」さん夫妻と、富士市で地方都市暮らしを始めた「高橋」さん夫妻が、それぞれの生活ぶりについて語った。
(移住のきっかけ等)
「古藤」:川崎市で生活をしていた。インターネット関連の会社に勤務。子供を持つなら、田舎でと考えた。35歳で林業の仕事に転職。藤枝市の最奥地である大久保に住み、島田市に勤務。家族は奥様と7歳の娘さんの3人家族。
「高橋」:京都出身で、東京で保険の仕事に従事していた会社員。奥様は富士市の出身。現在は富士市で土木関係の仕事に従事。0歳のお子さんを持つ3人家族。
(住まいについて)
「古藤」:8年前に藤枝市の空き家バンクで古民家の紹介を受けた。リフォームが必要で、お金がかかった。地区150年の住宅で、その一部をリフォームして使用している。家は広い。奥様は専業主婦。
「高橋」:奥さんの両親が建ててくれた2世帯住宅に住む。奥様が自宅でトリマーのサロンを開いている。
(暮らしぶりについて)
「古藤」:大久保地区では、26年ぶりに誕生した子供。藤枝市の中山間地域活性化推進室では移住相談会や、夏に移住相談ツアーを行っている。市の移住者へのサポートが手厚いと感じる。田舎暮らしだが、大勢のママ友のたまり場になっており、自然あふれる中でにぎやかに交流している。
「高橋」:周囲の人たちがあたたかく接してくれ、子供を連れて移動しやすい環境である。食べ物がおいしい。飲食店を経営したい人なら、味さえよければ、地方でも全く大丈夫だと思う。
(移住のアドバイス)
「古藤」:周りの人間関係については、住んでみないと分からないものだ。
山間地特有の難しさがあると思う。生活すべてをその土地に合わせることが大切。自分の理想の生活を強く求めたり、こだわりの趣味だけを押し通そうとすると、周囲との壁を作ってしまうことになり、田舎暮らしが快適でなくなってしまう。
「高橋」:都会を離れるということは、決してステイタスを捨ててしまうことではない。都会にはステイタスがあると思っている人が多いようだが、都会で得られるものは、誰でも金と時間があって、地方から都会へ行きさえすれば簡単に得られるものである。田舎暮らしは、やはり実際に住んでみなければわからないものだ。車の運転だけは絶対必要になります。
【感想】両者ともに、ご自分の人生の転機をとらえ、都会から地方へと移住を決断されました。その大きな要因となっているのは、将来の自分たちの生活、特に子供を持ちこれから育てていく環境について真剣に考えたことです。それまでの自分の職業を捨て、将来の生活を夢見て、新たな土地に移り住むことは、大変な勇気がいることでした。今、こうしてこの席でご夫婦そろって堂々とお話しする姿からは、現状に満足している幸せな生活ぶりが見て取れます。本当にあの時決断して良かった、関係する皆さんに助けられたという感謝の気持ちが感じられました。自分たちと同じようにはならないかもしれないが、地方暮らしを夢見ている方には、自分たちからもアドバイスを差し上げたいといったところでしょうか。藤枝市の議員としては、古藤さんのような成功例が身近にあるので、ぜひ生かしていってもらいたいと思いました。
D静岡のお仕事ランキング
〜移住者に人気のお仕事は〜
静岡県の地域別の仕事の紹介
・伊豆半島(観光中心)
・富士地区(製紙工場)
・中部地区(商業地域、支社が多い)
・西部地域(車、楽器などの工場)
希望ランキング(1製造業、2技術、専門、事務、営業、3販売、接客、IT)
転職ランキング(1技術、専門、2事務職、3製造、販売、接客、IT,営業)
事例紹介
・岐阜県飛騨市出身の間瀬戸さんは、高山市で働いていたが、東京目黒にある「静岡U・Iターン就職サポートセンター」の力を借り、転職活動を行い、御殿場市に住むようになった。
・時間をかけて、粘り強く、積極的に転職活動に取り組んでほしい。
・とにかく、一度現地に行ってもらいたい。(情報を仕入れ、判断できるから。)
・地域への理解不足が見られる。(地域性が合わない。分からない。)
・求人市場の理解不足(全く同じ仕事につくのは困難。都会と同レベルの収入は期待できない。)
・ライフスタイルを棚卸ししたい。(あれもこれもは駄目で、何を優先するのか、あきらめるかを判断しなければならない。)
3 市町のブースでの相談状況
藤枝市の出展ブースで対応されたのは、中山間地域活性化推進課の「小林係長」、同「渥美主査」、空き家対策室の「海野主幹」、同「暮林主査」の4名でした。相談者が来ないかと心配されましたが、中部地区の他の市町に比べ多くの件数があったようでした。ほかの市町では、暇そうなところもあったので、安心しました。対応する担当者が一人しかいないところもありましたが、これでは相談に訪れる方も、寂しくて行きにくいと感じました。相談者はほとんどが複数なので、やはりこちらも男女でペアになり、2人で対応するのがいいと思いました。藤枝市のブースで相談を終わった年配のご夫婦に、なぜ藤枝市に関心をお持ちになったのですかと質問をしたら、先に相談に行った静岡市のブースにいた職員の方から、「静岡市の近くの藤枝市も説明を聞いてみると参考になるかと思いますよ。」とアドバイスを受けたとのことでした。思わぬところで、中部地区の中枢連携都市の取組が見られ、少しうれしい気持ちになりました。
4 全体の感想
このように県と市町が協働で開催する移住相談会を会派で視察させてもらいましたが、実際にこの雰囲気を味わえたことは大いに勉強になりました。全国ほぼすべての市町が同じような目標を目指して競争しているのですから、知恵と工夫を出してやれば、必ずや効果が生まれることでしょう。もっと藤枝独自の「おもてなし精神」を生かして立ち向かうべきです。本市の良さが十分にPRできていないのかなとも思いました。ターゲットを絞り、ひきつける何かが欲しいですね。この相談会に来られた方が、果たしてその後藤枝市を訪れることになるのか関心があります。東京から近いという理由からか、全体的には東部地域、伊豆地域のブースがにぎわっていました。なお、本フェアは大都市東京での土曜日開催なのですから、もっと多くの来場者があってもいいのかなと思いました。さらなる有効なPRを、県当局にも期待します。