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■議員スキルアップ研修(2017.10.19)受講者:遠藤久仁雄

地域包括ケアシステムについて、学んできました!

〇研修名   地方議会総合研究所研修会
〇研修地   アットビジネスセンター池袋駅前別館    
      東京都豊島区東池袋1−6−4
〇研修内容 
「地域包括ケアシステム」
   講師:千葉喜久也 氏
 
1 地域包括ケアとは
 
・「地域包括ケアシステム」の定義については、資料P4・5の地域包括ケア研究会報告書を参照。
・医療と介護を中心に、住民参加とリーダーシップが絶対必要な条件となる。現状では社会福祉協議会と医師会等が努力している。そして地域がどれだけ積極的に関わっているかが大切。
・特養を作っても、そこで働く人がいない。優秀な介護者が、海外に流出してしまう傾向にある(人材の流れ)。一方では、海外からの人材に頼らざるを得ないのか?(文化が違うのでお世話等が困難)
  ・今後、寝たきり老人を特養で取り扱おうと安易に期待してはいけない。
  ・病院等の施設に依存している多くの老人→今後は他の分野で面倒を見なければならなくなるのだろう。
  ・複合型サービスとメリットについて(資料P7・8参照)→考え方は良いが、やはり適切な人材の確保が問題となるのではないだろうか。
  ・介護保険制度による公的サービスのほかに、地域での愛(昔から言われている「向こう三軒両隣」の精神のように居住地での内密な生活関係)が見直されなければいけないのだろうと感じた。
 
 
2 地域包括ケアのねらい
 
(1)2025年を目標に、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供
(2)「日常生活圏域」の設定
(3)保健医療・福祉サービス・予防、生活支援、居住施策の包括的な進行
(4)海外の先行事例
 
 ・フレイルモデルにおける4つのフェーズからみた施策(資料P11)
   frail(もろい、かよわい、はかない)
 ・体重変動については、成人期のメタボへの注意は当然だが、一方で高齢者にとっては適度な体重維持は大切なことである。栄養失調の回避。
 ・後期高齢者の認知症予防の対策
  (核家族化が進み、子どもたちが老人と接する機会が減少→歳を取るとい
うことが理解できない。老人を怖がる等。人はどうやって高齢者になっ
ていくのかを学ぶ必要がある。)
 ・認知症にならないための対策と認知症の人への接し方を理解する必要。
 ・認知症の背景因子
  (例えば中卒者が若いころから社会で苦労した生活→酒・たばこに依存し
た不健康な生活→肉体的、精神的な疲労→認知症に)その他、老年期の就労の有無や家族構成などの要因が考えられる。(資料P21)
 ・「施設入所は勧めたくない。」
   あくまでも講師の先生の私見であったが、要は施設に入所した途端に、それまで自分でやっていた動作がやれなくなってしまう。身体機能が低下して、早く衰えてしまうということを言いたかったのだと理解した。たまたま常任委員会で視察した施設「夢のみずうみ村」のような自立施設との対比を言っていたのだと思った。サービス過剰や、一律的(固定的)なサービスは良くないということでしょう。
・介護予防日常生活支援総合事業等に関しては、資料図を参照されたい。
・海外の先行事例(デンマーク・スウェーデン)を紹介
  いずれも介護提供型→自立支援型へ移行。利用者が自分の判断や意思で
積極的に社会参加を試みる。
 
3 具体的内容
 
  サービス付き高齢者住宅の仕組み等については資料を参照。(P45〜)
 
4 地域包括ケアの課題
 
 〇在宅困難者や介護放棄などへの対応で地域包括職員が追われる。
 〇介護現場は、重度者に未熟練者が対応するなどゆとりがなく、事故や介護職員離れが加速
 〇ベテラン職員の疲弊、燃え尽き
 〇施設待機者の増加(独居、認知症、生保にならない低所得、訳あり利用者が悪化するなどの要因による。)
 〇働く人の家庭環境が悪化、ベテランの退職者、・・・仕事に就けない貧困が増加、介護難民の増加、介護保険の評価の低下
 
・家族に介護力がない(核家族化、老々介護、介護者も精神障がい者や認知症者、男性が介護者)
・単身で身寄りがない世帯の急増に伴う生活支援の課題
 (近隣による見守り、成年後見制度)
・要介護度3〜5レベルの介護保険給付限度額を超えてしまうサービスに対する課題(個人の財産は?)
・病院における退院前カンファレンスと在宅ケアチームとの双方向の連携の重要性(双方向の情報提供と顔の見える関係の構築)
・地域における医療資源情報の整備と周知及び的確な情報提供(在宅療養支援医院と訪問看護ステーションとの連携、地域の資源活用等)
 
その他(男性介護者の課題、在宅医療の課題と取り組み、認知症予防教室、個別支援から地域援助へ等)
 
 
〇研修内容 
「高齢者福祉と介護保険」
 
1 今、高齢者福祉は
(1) 老いることは耐えることではない
(2) 退屈、孤独、孤立からの脱出
(3) 間違った医療・介護の現場
(4) 施設入所者の7〜8割は廃用性症候群
(5) 自分のことは自分で決める人生
 
・高齢者は何に耐えているのか?→虚弱、または認知症の高齢者は、不安によって自尊を抑圧している。私も自分の体験から(介護5の両親を介護した体験から学びましたが)高齢者がこの自尊感情を持ち続けられるように、周囲が理解の手を差し伸べてあげることが、介護する者にとって大変重要な心構えであると勉強させてもらっています。とはいっても、非常に難しいことなのですが。
・間違った介護により、特養利用者の多くが過介助により廃用状態になってしまっている。自分でできることが、できなくなってしまう。自発性を引き出すことが大切。能動的な生活に仕向ける。自分で考えて、行動。
・認知症と物忘れは違う。そこを理解して対応(介助)する。
・同じことを繰り返す。昔のことをよく覚えている。その反対に、今やっていることは、すぐに忘れる。相手を困らせる。
・その他、認知症の行動の特徴を理解することが必要である。
 
2 変わる介護保険制度
(1) 喜ばれた介護保険
(2) 利用者拡大で財政圧迫
(3) 利用制限を求める財務省
(4) 利用できない介護サービス
(5) 期待される特養の役割
(6) 家族介護の限界
 
 ・増加する医療費(高齢化、医療の進歩、新技術の導入、病床数が多い、在院日数長期化、薬価が高額、検査が多い他)
 ・日本の医療の特徴(多い病床、長い入院、少ない医療食)
  ・日本では自宅死がたいへん少ない。(在宅での看取りが少ない要因→本人と家族内の意見の不一致、死が切迫した時の兆候についての理解、その他感情的・心情的問題が存在)
  ・改革により施設入所者の数を抑制する。(2025年に向けて、在宅介護のうち小規模多機能サービス、居住系サービスのうちグループホームについては、特に増加の見込みである。一方で特養施設については、極力規模を抑える方向である。)
 
3 認知症施策推進5ヵ年計画(オレンジプラン)
(1) 認知症ケアパスの作成・普及
(2) 早期診断・早期対応
(3) 地域で支える医療福祉サービス
(4) 地域で支える生活支援
(5) 若年性認知症施策の強化
(6) 医療・介護の人材育成
 
  ・認知症老人が700万人を超える。
  ・認知症の背景因子(前述のため省略)
  ・介護職員数については、近年微増しているものの、今後の応募者数については不安である。
・介護に携わる職員の賃金アップは制度の継続に欠かせない問題である。 
 
 
4 介護は予防できる(事例紹介)
(1) 元気高齢者で町おこし
(2) 高齢者の街づくり
(3) 75歳から80歳のチアガール
(4) 男性高齢者の社会参加
(5) 安心して高齢者になるしくみ
 
・後期高齢者(75歳以上)に対し、前期高齢者(65〜75歳)は健康度が高く活動的である。社会的貢献度も高く、欧米に比べ就労率が高い。
・今後、高齢者の増加数は、都市部が圧倒的に多くなる。
・5つの予防に努めたい。(@要介護にならない。A重度化しない。B施設入所しない。C入院しない。D自分の望まない死をしない。)
・フレイルモデルにおける一連のアプローチ、年齢別栄養管理、後期高齢者の健康管理対策、男性看護の課題(再掲のため省略)
・2025年には全人口に占める65歳以上の割合は約30%、75歳以上の割合は18%となる。さらに2055年には65歳以上が約40%、75歳以上が26%となる見込みである。
・今後、厳しい財政事情の中で、福祉の充実は難しくなってくる。国は最小限のサービスを行うことになり、市町村のサービスには格差が生じるであろう。
・特養入所、高齢者施策、北欧の先行例(再掲のため省略)
・「施設ケア」から「地域ケア」へ(資料P85参照)
・その他地域包括ケアの課題等(再掲)
 
〈研修を終えて〉
以上、10時から17時までの講義でしたが、講師の先生の熱弁により、集中して受講できました。秋田弁でしょうか大きな声で、初めてこのような講義を長時間拝聴させていただきました。そして、介護についていろいろな事を考えさせられました。人間がこの世に生を受け、人間として当たり前のように生きていく。その人に合った努力や生き方をし、教育を受け、やがて世の中の波にもまれ、知恵を付け世間から学びながら人間らしく感性を高め、時には人生に疲れ、そしてやがて誰もが死んでいく。介護という営みは、それまで自分で行ってきた生活に支障をきたした時、周囲がそれに助けの手を差し出すことだと思うが、大切なのは死ぬまでは変わりなく人間だということだ。介護にあたる者は、当事者の人格を傷つけず、人間として対応することの大切さを基調にしなければならないということです。自尊という言葉もそこから出てきています。相手の言葉や行動を、決して否定してはいけないということです。
 我が国も厳しい社会経済状態にあり、すべての国民に十分な福祉の供給とは言えませんが、法の運用と限られた財政の中で、いかに多くの市民が幸せな暮らしを実現できるか。一市議会議員として、生活困窮者や弱者の皆様の声に耳をそばだてて、勤労させていただきます。