■平成29年度 会派研修&行政視察報告(2017.7.23〜24)
〈午後の部〉先進自治体が取り組んでいる地方創生
1.受講の目的・内容・感想
樋渡啓祐氏は2005年、当時全国最年少36歳で武雄市長に就任され、ドラマ「佐賀のがばいばあちゃん」の誘致、市民病院の民間移譲、年間100万人の来館者を実現した武雄市図書館(蔦屋書店・スターバックスコーヒージャパンとのコラボレーション)のリニューアルオープン等、そのユニークな手腕が全国的に注目され日経BP「日本を立て直す100人」にも選ばれた俊傑である。
同氏は、いわば型破りの首長であったがため執行部職員からすれば、常に問題意識、課題解決への強い姿勢とともに積極果敢な取り組みを求められ相当に戸惑われたであろうことも想像に難くない。2015年には、佐賀県知事選挙に挑戦し結果敗れたものの樋渡氏の若々しく大胆な発想が武雄市や佐賀県のイメージをプラスに変えたことの意義は大きかったといえよう。現在は、まちづくりの株式会社である「樋渡社中」のCEOとして地方議員研究会の名物講師としても活躍されている。
その樋渡氏が〈午前の部〉に講義した「議会活性化のノウハウ」についてであるが、
@議員は市民や職員からどう思われているか。
A先輩議員や議会事務局に貴方は騙されている。
B議会活性化のために取り組めることの提言。
の3つを柱に、ご自身の経験から発する大変解りやすく、ユーモアあふれる論調でエピソードを交えてお話しされたが、以下に要点を記す。
@-1 職員から地方議員はどう思われているか。➡・何も知らないくせにうるさい。・何をしているのか実態が不明。・選挙の時だけ頑張る。
@-2 市民から地方議員はどう思われているか。➡世話好きで身近な人。・自分の生活にはあんまり関係ない。・女性の声を聞いて欲しい。
@-3 首長から地方議員はどう思われているか。➡・足を引っ張る存在。・頼りになる存在。・首長と違って楽でいい。
などと本音トークが多かったが、つまるところ「いろいろ言われるのが地方議員」であり、「議員の仕事はマイナスからプラスに変えること」、「頼りになる存在になること」であり、そのためには「知識を持つこと(不断の勉強)」が最も大切であると説く。とりわけ、樋渡氏いわく「執行部職員は戦略を持っていない。いや、持てない」というコメントは印象的で、二元代表制の下で、議員=議会こそ首長の戦略や施策を支持ないし牽制する責務があることを断言され合点がいった。
次に、A先輩議員や議会事務局に貴方は騙されている。については、不信に思う先輩議員の言動は執行部、市民にも見透かされているから気にしないこととバッサリ。大事なことは「一般質問」における取り組み姿勢で、執行部職員に質問作成させたり執行部の都合と調整したりするような質問は議員の権利と義務の放棄であり、質問姿勢、質問レベルにより議員はランク付けされているとも述べられた。また、一般質問は同一テーマを何回も行い、取り調べするような臨み方が効果的であり、質問および提言が執行部および傍聴者やネット視聴者の市民に理解しやすいようパワーポイント等のプレゼンテーションツールを使うことが先進議会であると武雄市議会の本会議映像を事例に説かれた。
3つ目、B議会活性化のために取り組めることの提言。では、まず日頃の活動報告をペーパーやSNS等で「市民・支援者に情報発信すること」の重要性ととにかく「不断の勉強で知識をつけて臨むこと」を上げられ、積極的に住民と懇談会などを開催することを勧められた。それが市民の負託に応える地方議員の機能であり役割であると説かれたが、改めて肝に銘じなければならないと反省した。また、議会は議員一人ひとりの力量で全体が決まるのでお互いに切磋琢磨し合う環境づくりが大事と説かれた。一方で、会派は「仲良しグループ」でしかない。市民も知らない。会派拘束など国会の党派拘束とは次元が違うから、地方議員個々は自立性をもって意見・異論を会派内でも積極的に交わしつつ収斂させ、会派としての統一性を高められれば理想的と説かれたが、まったくもって同感である。
〈午後の部〉であるが、「先進自治体が取り組んでいる地方創生」と題した講義であった。
第1章「先進自治体VS 停滞自治体・数年後の差は歴然」
第2章「先進自治体の具体例」
第3章「人口減少社会に生き残る自治体の条件」
の3構成で話された。まず第1章では、主権者目線・市民目線向けのサービスにおいて、情報発信力がポイントと説かれた。とくに行政のホームページ制作術として、・こちらが発信したい情報を押し付けるのではなく、市民が知りたい情報を見やすく、解りやすく発信することが大切とし、先進自治体と停滞自治体のホームページを比較しながら説明された。
本市においては、先進自治体のホームページデザインになっており、その効果として子育て世代の人口増や企業誘致に繋がっているなど高く評価できると感じた。また、停滞自治体にならないための秘策として、@意気込みは感染する A成功力より修正力 B逆風は向きを変えれば追い風 C前例がないを打ち破る D勝率0でなければ1勝9敗でいい Eスピードは最大の付加価値 F話が来たらまず飛ぶ GTTP=「徹底的にパクる」 H組む の9つのキーワードを挙げられ、その事例を武雄市長時代の様々な体験をもとに語られた上で、まとめとして行政の予算は職員が持っているから、職員への提案・情報提供をすることが政策実現の確率アップになったと語られた。また、地方議員がやるべきこととして、『情報収集(学ぶ)➡視察(知る)➡一般質問(行動する)』。このサイクルを常に回転させ、「失敗を恐れず、すぐ行動する」ことが執行部を動かす秘訣と説かれ勇気づけられた。
第2章では、樋渡氏が地方創生アドバイサーとして関わられた5つの自治体の事例を簡潔に紹介されたが、要は「組み合わせが上手い」「先進事例から徹底的にパクる」ことが地方創生プロジェクトのコツであると説明された。
第3章では、まず『最新の空き家対策の情報』として、「空き家の種類別推移」・「空き家の増加の将来予測」をグラフ説明された上で、空き家問題の解決に向けた【全国空き家対策協議会】と【全国空き家対策市町村議会議員連盟】の組成を国土交通省の下に行うと同時に「全国空き家バンク推進機構(ZAB)」の立ち上げを説明された。なお、このZABの理事長には樋渡氏が国交省から委嘱され、今回聴講した議員にも参画を促されていたが、是非とも参画し本市の空き家対策に寄与したいと思った。
最後に、『最新のふるさと納税の情報』として、「ガバメント・クラウドファンディング」について、通常のクラウドファンディングとの違いや取組み自治体の事例を説明され、今後のふるさと納税のあり方・方向性を説かれた。本市はこの方向にシフトしつつあること感じているが、「一般質問」の中で確認してみたい。
T 「議会活性化のノウハウ」
1 議員は市民や職員にどう思われているか?
- 職員からは
・何も知らないくせにうるさい。→知識獲得のために学ぶ必要あり。
・何をしているのか実態が不明。→情報発信が不足しているからだろう。
・選挙の時だけ頑張る。→選挙の時も頑張るようにする。 - 市民から地方議員はどう思われているか?
・世話好きで身近な人間。→これは大切なことの一つであろう。
・自分の生活とはあんまり関係ない。→10万人以上の市の場合に顕著か。
・女性の声を聞いてほしい。→男性側からも聞かれる声である。
・国会の(党=会派)と地方の(会派)は違う。独立性あり。しばりなし。 - 首長から地方議員はどう思われているか?
・足を引っ張る存在。→であるなら、叩かれる状況を因数分解してみよう。その中から良いものを残して行け。
・頼りになる存在。→議員に正しい知識と判断力が要求される。
・首長と違って楽で良い。→行政は事業を継続させることが大事。政治家は行政と違うことを言い(やり)、変えていこうとする姿勢が大切。
また、講師は佐賀県武雄市長時の事業として、民間企業(TSUTAYA)を取り込んだ図書館経営のお話、武雄市議会議員の情報発信のやり方を紹介してくれました。この議員は、小まめにフェイスブックで大雨冠水の状況、地域の水路の溝さらいや草刈りの様子、新たに開店した古着屋の紹介などを発信しています。自ら発信することにより、情報を掴むことができるという事例です。
その他、武雄市議会の議場の様子を紹介されました。平成25年の様子ですが、大画面のモニターが2台設置されており(議会費で購入)、それを使って議員が傍聴者に分かりやすい質問を工夫して行っていました。本市の一般質問の様子を見ますと、中には我々議員にとっても分かりにくいような質問やパフォーマンス的な質問も見られます。傍聴者やインターネットの録画配信をご覧の市民の皆様に対し、もっと丁寧な質問でありたいものです。市民にとって「何を言っているのかわからない。」という質問だけは改めたいものです。
2 先輩議員や議会事務局にあなたは騙されている。
少しショッキングな投げかけでしたが、講師から、まず次のようなことはないかと質問されました。
- 「質問調整しますよ」「担当課が質問作成しますよ」「この質問はできませんよ」と言われたことはありませんか?
これについては、質問する権利・義務が議員にはありますので、全て自由に行われなければならないはずです。議員は臆せず質問・提案をしなければなりません。むしろ執行部にとって恐れられるくらいにならないと一人前とは言えないのでしょう。講師の話の中に、議員は執行部側から「松・竹・梅」のようにランク分けされているということもありました。うまいこと言うなあと変に感心してしまいました。
なお、議員になり立ての頃、先輩議員から、「自分が所属する常任委員会の一般質問はするべきではない」とか、過去の「学区編制」についての質問はタブーだとか言われましたが、全く根拠がないことだと再確認しました。執行部との事前打ち合わせの中で、「この言い方は、こんな風に変えてもらえませんか。」と言われたことは確かにあります。そんな時は、それにより自分の質問のねらいや本質とずれてしまわないか、一方で自分の質問や表現は客観的に見てこれで正しいのだろうかを考え判断しています。実際には自分の理解不足で勉強になることが多いのですが。ただ、執行部サイドの流れに乗ってしまわないように注意はしています。 - 質問の題材はどうすればよいの?
講師は、先述のテレビ録画を徹底して利用していす。ネットは情報が出したい放題なので、参考にしないそうです。テレビというメディアは限られた時間内でそれ相応に厳選し、また正確な報道をするという話でした。自分は、新聞記事を中心にテレビ報道と、後は市民の皆さんとの対話でしょうか。 - 質問したことは実現できるの?
講師からは、議員が繰り返し質問することの重要さを勧められました。私も関連して同じ質問をしたことがありますが、効果的だと思いました。委員会での発言等を採り上げて質問につなげていくのも一つの方法だと考えています。何よりも質問後の見届けが肝心ですね。 - 先輩議員に実績・手柄を横取りされる。良いとこ取りされる。どうしたらいいの?
- 先輩議員にいじめられる。ムカつく先輩議員など、どうしたらいいの?
これも、コメントを控えます。同じ議員なので、立場は違うこともありますが、共感を得る努力はお互い必要でしょう。 - 行政用語の注意点は?
多くはそうかもしれないが、100%そうだと言い切れないと思っている。議員としては、それを確かめていくことが重要であると考える。期限を切って要求したり、約束してもらうことが大切になる。執行部に対する
3 議会活性化のために取り組めることの提言。
突き詰めれば、議員一人ひとりがまず実力を付けること。個人の知識の集結が議会になる。講師は再度、武雄市議員の手作り資料やその配布方法について話をされた。ポスティングよりも、直接顔を合わせての配布が効果的であるとの事でした。SNSでの情報拡散も大変効果的であるとのこと。最後に、早稲田大学マニュフェスト研究所の「議会改革度2016」上位300位までの一覧が示されました。藤枝市が、静岡県で第1位、全国でも88位と表示されており、少しうれしくなりました。
U 「議会活性化のノウハウ」
1 先進自治体VS 停滞自治体 数年後の差は歴然 ‼
誰のための地方自治か?もちろん県民・市民のためである。戦略にどう関わるのか。このまちを、どういうまちにしたいのか。夢を実現に変えるのが戦略である。これには知名度を上げるのが手っ取り早い方法である。日本人はランキングが好きである。メディアに採り上げられることにより、市民の共感を得ることができ、満足度も増す。
ではまず、自分の自治体のホームページと他自治体との比較から始めよう。自分の自治体は、果たして情報発信力を備えているだろうか。行政のホームページは、市民が知りたいことを情報発信しているだろうか。また、行政の目指す姿が市民と共有されていだろうか。ホームページに、市民の知りたい情報があるか。また見やすく解りやすい内容になっているか。
- 停滞自治体にならないための9個の秘策・アイディアを紹介
武雄市の「佐賀のがばいばあちゃん」誘致を紹介。20回にわたる打ち合わせを行う。本気度を伝えるという、意気込みが大切である。
・完成力より修正力
走りながら変えていく。武雄市の図書館事業の紹介。「いいとこ取り」でお互いを高め合う。さらに今後は、武雄市図書館を参考にして、各自治体の実情に合わせてカスタマイズしていく。
・逆風は体の向きを変えれば追い風となる
武雄市民病院の民間への移譲に対し、リコール手続きが開始される。その直後に辞任表明し出直し選挙へ。主導権を相手に渡した瞬間に負け。
・前例がないを打ち破る
高槻市の放置自転車対策 前例のない「Yahooオークション」で、年間の売り上げが増大。
武雄市の図書館改革に際しても、「図書館法」の壁があったが、これを行動力・実行力で乗り切ったという報告であった。
・勝率ゼロでなければ1勝9敗でいい
武雄市は、病院の民間移譲と図書館改革で大成功!イノシシ、レモングラス、教育改革も成功。何をやってもうまくいっているように見えるかもしれないが、そうではない。むしろうまくいっていることを探す方が難しい。他の自治体は全て成功させようと力んでいるだけだ。
・スピードは最大の付加価値
思い立ったらまず行動する。遅い理由はお役所ルール。議員が「オシリ」を強要すべき。スピードを上げれば上げるほど、職員は乗ってくる。間違いはどんどん修正していけばよい。
・話が来たらまず飛ぶ。
武雄市長は武雄を盛り上げ、武雄の市民価値を高めるのが仕事。ロケ地誘致・病院の民間移譲・図書館改革など関係者にすぐ連絡を取り、飛んでいく。今の武雄市役所は、市長だけでなく職員も動きが相当速いからうまくいっている。
・TTP(徹底的にパクる)
「良いとこ取り」がお互いを高め合う。例:代官山蔦屋図書館→武雄市図書館
・組む
旬の人・組織と組むことによって自分たちの力を上げる(ように見せる)。異質なところと組んで、相乗効果を上げる。今流行の「包括協定」は愚の骨頂。何をやるのか分からない。
「首長が何もしない」とよく聞く。予算は誰が持っているのかと考えると、それは職員である。だから職員に対し情報提供や提案を行い、政策実現へとつなげたい。
また、議員がやるべき事は、情報を収集(学ぶ)→ 観察(知る)→ 一般質問(行動)することである。失敗を恐れずに、すぐ行動してほしい。
2 先進自治体の具体例(地方創生アドバイザーとしての関わりから紹介)
・どうしたら本当に地域が元気になるのか?
・もっと地域を強くするにはどうすればいいのか?
・市民は株主ではない?(市民は有権者であり納税者である。)
・地元消費の質を見直す?(たった1%を県外から県内へ→経済効果は?)
・ミクロでエッジを効かす?(地域活性化の源・術は「小さい」こと)
・キーパーソンがいい意味で自己中心的?(自分が「ワクワクする」こと)
以下、先進自治体の具体例5件が紹介された。いずれもこのような自治体の成功例は、その組み合わせがたいへん上手であると感じる。講師が言われるように、先進自治体の好例を徹底的にパクっているものが多く見受けられる。
(宮崎県日南市)
マーケティングアドバイザーを民間より高給で採用。さびれていた油津商店街は全国の「はばたく商店街30選」に選ばれた。
(佐賀県武雄市)
メディアを活用した情報発信。公立病院の民営化、CCCと組んだ図書館再生等。図書館は年間100万人の利用があり、4割が市外から。周辺の飲食店や宿泊施設の利用は倍増した。
(富山県南砺市)
8つの町村合併により誕生。8つの伝統と文化を継承し、積極的な移住定住施策に取り組んでいる。観光客も増加。
(北海道網走市)
空港からのアクセスを活かし、様々な移住者が増加。東京農大の協力で「オホーツクものづくりビジネス地域創生熟」が活況。
(栃木県那須町)
サイクリングで町おこし。大自然の中でのロードレース開催。今や「サイクリストの聖地」とまで言われている。
3 人口減少社会に生き残る自治体の条件
- 最新の空き家対策の情報
・ふるさと納税
最近のふるさと納税のあり方として、「ガバメントクラウドファンディング」が注目されている。返礼品目当てではなく、寄付金すべてを自治体の課題解決のために使ってもらうものです。本来のふるさと納税の考え方ではないでしょうか。自然災害被災地の復興事業の他に、東京都文京区が行っている「貧困世帯へのフードサービス事業」等があります。
■調査内容
野田市は、人口153,583人(国勢調査〈都市データパック2017年版・東洋経済新報社〉)であり藤枝市143,605人(同)とほぼ近い人口(但し人口密度は野田市1,479人/㎢、藤枝市748人/㎢)である。同市における〈生活保護〉の実態は、同データによると申請件数267件、被保護世帯数1,227世帯、被保護実人員数1,744人となっている。藤枝市では、申請件数75件、被保護世帯数288世帯、被保護実人員数380人であり、数値から生活困窮者の比率も野田市の1/4程度と推測できる。
首都東京に隣接したコンパクトな自治体・野田市の生活困窮者の実態と自立支援事業の取り組み事例を学ぶことは、今後徐々に対象者が増えていくことが予想される本市の同事業の在り方において参考になるものと考え、視察をお願いした。
同市保健福祉部生活支援課から次の流れで取り組み状況等をご説明いただいた。
◆パーソナル・サポート・モデルプロジェクト事業から
平成23〜24年度は、内閣府所管の「パーソナル・サポート・モデルプロジェクト事業」に取り組む。支援対象者は、就労し安定した自立生活を望みながらも、失業または不安定な就労と複雑な課題を持っている方で、同市商工課内に【求職者総合相談センター】を週3日開設・支援員2人により対応する。翌24年には、社会福祉課と共管し、【パーソナルサポートセンター】に改組。週5日・支援員3人として、対象者を限定しないで複合的な課題を抱え、制度の狭間に置かれている方々まで拡大した。具体の協力事業をNPO法人キャリアデザイン研究所(柏市)に委託したが、25年度末で同研究所は辞退された。
平成25〜26年度は、厚生労働省所管の「生活困窮者自立促進支援モデル事業」として、同市社会福祉課の直営による【パーソナルサポートセンター】の運用を週5日・支援員3人体制で実施。生活困窮者を幅広く受け止め、支援する自立には経済的な自立のみならず日常生活や社会生活における自立、生活保護受給者も支援対象とした。
平成27〜28年度は、『生活困窮者自立支援法』(平成27年4月施行)に伴い「生活困窮者支援事業」として、新たな組織「生活支援課」による【パーソナルサポートセンター】の運用を週5日・支援員4人体制で実施。「現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することが出来なくなる恐れのある者」を生活困窮者とし、その上で、複合的な課題を抱える困窮者を幅広く受け止める。学習支援を除き、生活保護受給者は対象としない。との方針で、一般社団法人「千葉県労働者福祉協議会」に事業委託しながら取り組まれている。
◆自立相談支援事業(パーソナルサポートセンター)平成26年・27年・28年の比較
同市における自立相談支援事業(パーソナルサポートセンター)への相談件数(新規・継続合計)の推移を見ると平成26年度448件・27年度890件・28年度1,114件と倍増傾向にあったものの28年度からはやや鈍化傾向になっているという。また、相談者は30代・40代・50代の働き盛り家庭が最も多く、相談内容も、生活費、就職、病気・障害、家賃、支払いの順になっているが、平成27年度に相談件数が増えた理由として子供の学習支援の相談が多かったことから、「学習支援事業」を強化したという。「学習支援事業」の平成26年8月開始時は、対象は中学3年生のみで月2回(第1・第3土曜日)、市内6ヶ所の公民館において高校受験対策を目的に開催したところ参加者は24人(出席率41.7%)であったという。出席率が低調な理由は、広報等の告知で対象者が生活困窮者家庭ということが分かる内容であったため出席しづらかったのではないかという。そのことから翌27年度からは、個別にお知らせ案内し、一ヶ月間休まない生徒に図書券をプレゼント(参考書が買える)するなどして、対象も生活保護世帯と準用保護世帯の中学生・全学年にしたところ、52人の出席になった。さらに平成28年度においては、事業の対象者への周知徹底とともに市内に所在する東京理科大学の学生を主な教師としていたことが生徒の評判(お兄さんお姉さんに教えてもらっているという親しみやすさ)を呼び、135人の参加になったという。
平成29年度からは、対象を小学校5年生以上としたところ650名へと参加者が激増。平成30年度からは、小学校3年生以上を対象として事業拡大(市単)されるという。
◆平成28年度・野田市PSC(パーソナルサポートセンター)の月別実績
先述した状況の中、直近となる28年度のPSCの月別相談実績を見ると、新規の相談総数は239人となっている。性別では男性が143人、女性が96人。年齢では、40代57人・50代53人・65歳以上45人の順となっている。相談経路としては、関係機関・関係者の紹介が117人と最も多く、次いで本人の来所85人、家族・知人の来所の順となっている。また、相談対応の全体数であるが、総数は1,114人(新規239人・継続875人)で継続者が多いことが分かる。これに対しての支援実施およびプラン策定状況であるが、新規支援者は93人、継続支援者は762人の合計855人となっている。相談総数1,114人の77%に対してカバーしていることになるが、残る259人(33%)については、27年度から増えている学習支援や病院同行支援、住居確保支援等のプラン策定の必要のない相談である。
◆フードバンクについて
家庭や職場で余っている食品を無料でいただき、福祉施設や困っている方々に無料でお届けするなど、両者の間の橋渡しとしての役割を担っているのがフードバンクである。野田市では、同事業を一般社団法人・千葉県労働者福祉協議会に委託し、運営主体は、日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会・センター事業団とNPO法人「ワーカーズコープちば」が担っている。野田市PSCでは、自立相談支援事業の相談業務を実施している中で、食料を買うお金が無く困っているなどの相談を受けた際、PSCにストックしてある食料を1週間分(1日3食×7日)渡し支援している。1週間分で不足の場合は追加で2回目(1週間分)を宅配するが、1世帯2週間分の支援を限度としている。支援する食料については、お米、乾麺、レトルト食品、缶詰等の日持ちするもので野菜や生ものは支援対象外である。また、水道が止められている方については、ペットボトル水も支援している。同市によると、近年、生活保護の相談者に、お金がなく食料もない等の相談が増加しており、生活保護の申請と同時にフードバンクを利用するケースが増えているようである。
■自立支援の具体策・就労支援の取り組み・今後の課題について
同市では、関係する各課や関係団体、民生委員などからの情報を基に、対象者の状況に応じた訪問や同行、庁内での面談を実施した上でアセスメントシートを作成され、相談者と相談しながら個別支援計画を作成されている。処遇困難を要するケースについては、各関係機関の有識者で構成する「支援調整会議」を実施し、個別支援計画の内容等を十分検討したり、モニタリングを実施したりして、支援内容や支援方法について相談者に最適の計画となるよう図られている。
就労支援の取り組みについては、・就労が可能かどうか医師の判断を得るための通院同行支援 ・朝の定刻に来所させる就労意欲喚起支援 ・履歴書の書き方支援 ・企業との面談に向けての支援 ・ハローワークへの同行支援 ・就職後の近況伺い、電話等による声掛け等により就労の定着支援 等々を行われている。
今後の課題について同市では、野田市の地域性を踏まえた上で、今後どのような事業を展開していくことが、生活保護に陥る可能性を抑えかつ減少させることに繋がるかを見極めていくことが重要であると考えられていた。
■本市に反映できる点
野田市においては、多様化する相談、複合化する相談、あるいは電話相談から面接相談への変化等、総体的に相談件数や要支援件数が年々増える中、相談者、支援者へのきめ細かな対応が求められる状況にあると話され、今後は、アウトリーチ(訪問・同行)やハローワーク、保健所、関係機関や関係団体との連携等を強化し、生活保護に陥る前の方策を重視したいと話されていた。しかし大変参考になったことは、同市の「学習支援事業」についての積極的な取り組みで、野田市が持つ教育環境(東京理科大学)をうまく活用されていることである。学習支援事業というカタチを取りつつも教育や勤労、納税といった国民の三大義務をそれとなく教え込むことができる可能性がこの学習支援事業に内含されているからである。このことは、課題解決の根源的な取り組みともいえ、本市においても小学校・中学校の授業の中で、働くことの意義・義務について、現代の生活困窮の実態や社会的背景を交えて教えることは極めて重要と考える。
野田市へ視察に行くに当たって、本市の自立支援課に本市の状況と取り組みについての概要をお聴きした。本市においては、平成27年に【藤枝市自立生活サポートセンター】を庁舎西館2階に設置し、主任相談支援員1名、相談支援員2名、就労支援員1名、貸付相談員1名の体制で関係部課と連携した取り組みをされる中、平成28年度だけでも410人の新規相談があり、その内72人が就労に繋がり200人以上は継続して対応されているという。また、これまで1,500件程の面談や電話相談、200余の訪問、500件以上の他機関との調整・打合せを行っていると聴く。国は、新規相談件数の目安を「22件/月(10万人あたり)」としており、本市の場合は約23件(年間276件)が目安となることから年間410件の相談実数は目安の1.5倍と多い訳であるが、このことは就労実績や問題解決に繋がっているケースも含め、自立生活サポートセンター設置により、市民に開かれた行政サービス、気軽に相談できるサービス体制の成果であると理解できる。さらに本市で高い成果をあげているのは、フードバンク事業である。とりわけ、家庭に眠っている食品を施設等に集めてフードバンクに寄付する運動である「フードドライブ」は、昨年夏季と冬季に実施し、市役所、岡部支所、各地区交流センター、社協の全17ヶ所に設置したが、地区交流センター等での実施は藤枝市のみの取り組みだという。寄付された食料品の量も夏季344.53kg、冬季925kgと県内1位の実績を作られ、対象者への支給件数は257件であった。
全国的に増加傾向にある生活困窮者および生活保護対象者にとって自立生活サポートセンターの存在は、極めて重要であり、対象者の増加に応じた支援員等の人員確保、関係機関との連携強化、就労受入れ先となる事業所への啓発活動を推進していかなければならない。さらには、新たな公共事業を創出する中で、雇用機会を提供していくことが求められるのではないか。例えば、本市の課題である放置竹林問題や耕作放棄地問題をシイタケ産業の復活と絡めた対策等として、伐採からシイタケ原木の植樹と手入れの従事者にする。あるいは里山の落葉広葉樹林化による景観回復や公園、街路の美化活動等を事業化して、その従事者に宛がうことなども目に見える成果とともに就労意欲醸成と仕事の達成感を味わわせる上で有効ではないだろうか。
働く、汗を流す、達成感、目的意識、まさに“生き甲斐づくり”がキーワードであり、対象者の適性に応じたソフト&ハードの就労創出が行政の役割になると思われる。
コミュニティバス「まめバス」について
■調査内容
野田市では、平成15年の関宿町との合併を機に、「新市建設計画」の重点事業の一つとして、コミュニティバス「まめバス」の運行を平成16年1月から開始している。まめバスは、ミニサイズのノンステップバスで、名称は、市民からの公募により、小回りの利く「ミニサイズ」であること、市民のみなさんに「こまめ」に乗ってもらいたいこと、野田市が全国有数の「枝豆」産地であることから「まめバス」と名付けられている。枝豆のオブジェを屋根に置き、窓ガラスにはキャラクターを描くなど可愛らしくユニークなデザインになっている。当初は、北・中・南ルートの3ルートで運航開始したが、以後ルートの見直し等を経て現在は6ルートが運行され住居地区をほぼ全域カバーしている運行日は、住宅が密集する2ルートは年末年始を除く毎日の運行で、それ以外の4ルートは年末年始を除く平日のみとなっている。
●運行形態
・運行業者:茨城急行自動車梶i制限付き一般競争入札)※不調後、一社随意契約
・協定内容:運行(道路運送法第4条)及びバス車両、バス停の維持管理
・6ルート ・平日75便、土日祝38便
・バス車両:リース車両10台を運行業者に無償貸与
●バス車両の特徴
・バリアフリー対応 ・ノンステップのコンパクトサイズ
●料金設定
全ルートとも100円均一で、小学生は50円、乳幼児は無料、障害者は、障害者手帳の提示により50円(付添人も50円)
・「一日乗車券」:運行開始当初から平成22年度までは、乗継券を発行して利便性向上を図ってきたが、不正乗車防止と利用促進の観点から、発行日当日限り何度でもすべてのルートで乗降可能な「一日乗車券=大人200円、小人等100円を平成23年度から発行
●運行ルートの設定
市役所へのアクセスを基本としつつ、幅広い利用者を集める公共施設、駅、病院、
ショッピングセンターなどを運行ルートに取り込む。
●バス停の間隔
概ね300m〜500m
●利用者の意見
・お年寄りや車を運転できない人に便利(外出する機会が増えた)
・買い物に行くのに便利になった
・通院が便利になった
・100円で気軽に乗れてありがたい
・他の乗客とも和気藹藹でよい
●その他
・回数券(1100円分)を1000円で販売
・回数券の表紙を3枚集めると抽選で野田産朝採り枝豆をプレゼント
・平成20年には、運行5周年記念まめバスミニ模型を12,000個作製し700円で販売するも即完売
■今後の課題
野田市のコミュニティバス「まめバス」は、平成27年度より委託方式から補助金方式にして財政支出を抑える努力をしてきている。その額は6800万円以内としているが、諸経費高騰の影響や今後の消費税率の引き上げが予定されていることから運行計画のさらなる見直しを平成29年度中に行いパブリックコメント等を経て、平成31年度から新たな計画のもとに運行を予定されている。
見直しのポイントとして以下を挙げられている。
・特に利用の少ないルートの利用促進策の検討
・市民から寄せられた意見、要望への対応
・まめバスのさらなるPR
■本市に反映できる点
野田市の「まめバス」運行の特長は、市役所をはじめとした公共施設へのアクセス性を高めるとともに病院、大型ショッピングセンターなどをルートに入れ、しかも病院敷地内やショッピングセンター駐車場への乗り入れといった交通弱者、買い物弱者の利便性を重視している点である。このことは本市の市民ニーズとも一致しており、現在、運行の空白域となっている幹線道路から離れた地区への乗り入れも再検討すべきであると考える。また、何といっても料金が100円均一といった格安の利用料について本市でもシュミレーションして、コミュニティバスの乗車率アップを狙うとともに交通弱者、買い物弱者の利用を刺激・促進することも高齢者運転免許自主返納サポート対策と合わせて有効であると思う。さらに、山間奥地に展開する本市の観光資源を活かす意味でも格安料金による均一運賃での運行は大きな成果が期待できると考えるが、このことは本市域に限ることではなく、駿河湾沿岸部の焼津市や大河大井川が貫流する島田市等と協定された広域観光の視点で取り組むことが望ましいと思う。
〇視察事項 『生活困窮者自立相談支援事業の取り組み』
『まめバスの運営』
1 野田市の概況
市制施行は藤枝市よりも古く昭和25年(1950年)である。千葉県の北西部に位置し、面積は本市の約半分の103.55㎢、人口は本市より1万人多の153,583人である。周囲を利根川・江戸川・利根運河に囲まれた水と緑に恵まれた地域である。江戸時代には運河が開設され、水路により東北地方から銚子を経由し、江戸への物資運搬で栄えた地区である。北部は江戸への玄関口として川の関所が設けられ(関宿)、南部は醤油製造業が盛んで文化と歴史豊かな町である。近年は、住宅都市としての発展を見せている。
2 視察事項
★『生活困窮者自立相談支援事業の取り組み』について
(野田市役所 保健福祉部 生活支援課 より説明)
- 「支援事業取り組み」の歴史
・「パーソナル・サポート・モデルプロジェクト事業」の開始
・全国19自治体、当初は商工課所管で、就労のお世話をした。求職者総合相談センター(週3日開設、支援員2人)
・24年度からは、社会福祉課と共管で、対象者を限定せず、複合的な課題を抱え、制度の狭間に置かれている方々を対象とした。パーソナルサポートセンター(週5日開設、支援員3人)
イ (平成25年度〜26年度)
・「生活困窮者自立促進支援モデル事業」として継続。社会福祉課の所管。生活困窮者を幅広く受け止める。支援する自立には、経済的な自立のほか、日常生活や社会生活における自立も含む。生活保護受給者も支援可能。パーソナルサポートセンター(週5日開設、支援員3人)
ウ (平成27年度〜)
・「生活困窮者自立支援事業(法施行)」 生活支援課の所管。
・「現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者」を生活困窮者とする。その上で、複合的な課題を抱える困窮者を幅広く受け止める。学習支援を除き、生活保護受給者は対象としない。パーソナルサポートセンター(週5日開設、支援員3人)28年度から 〃 (週5日開設、支援員4人)
なお、事業の委託先については、23年度からは「NPO法人」が、その後3ヶ月ほど野田市直営となったが、26年7月より「一般社団法人千葉県労働者福祉協議会」に委託している。
- 自立相談支援事業(パーソナルサポートセンター)H26・H27・H28
・新規相談件数(実人数) H26(115人)→H27(272人)増加の要因は、27年度から学習支援を始めたことによる。
・相談者は30代から50代が多いが、最近は無年金者の生活費相談が増加傾向にある。
・支援調整会議ケース数も、3年間に渡り、毎年度増加している。(13→65→92、現在では、週1回の会議を行っている。)
・相談内容の多くは、「生活費」「病気・障害」「就職」である。
・フードバンク利用数(68→123→182)
- 平成28年度 野田市PSC月別実績
- フードバンクについて
- 自立支援の具体策・就労支援の取り組み・今後の課題について
・自立支援の具体策として、個別支援計画を作成するが、さらに処遇困難を要するケースについては、各関係機関の有識者で構成する「支援者会議」を実施し、さらに最適な内容となるように努めている。
・今後の課題については、生活保護に陥る可能性のある方に対して、少しでもその救いとなるよう、現状の分析や社会情勢を考え、どのような事業を展開すればよいのかを検討していかなければならない。
【感想】野田市では、平成26年度中途から学習支援事業に取り組んだ。当初は各地域の公民館を中心に10カ所以上の場所で、週1回中学3年生のみを対象に企画したが、思うように利用者が集まらなかった。27年度は中学生全学年を対象に6会場で52人の受講。28年度には135人まで増加した。29年度からは困窮者以外にも対象を広げ、学年も小学校5年生以上としたため、現在では650名を超える児童・生徒が参加している。さらに来年度は、小学校3年生まで枠を拡大する考えである。これについて、当市との比較でどのように考えたらよいのか、私も今は判断できかねます。本市では、週1回藤枝駅北の教室に30名くらいの中学生が通学しているようです。市内に学習場所が1カ所しかないので、この数を増やすことをまず考えたらいかがだろうか。それによって参加者が増加する可能性があります。そしてその後に、困窮世帯以外の家庭にまで対象を広げるかどうかの判断をすればよいと考えます。
『まめバスの運営』について
(野田市役所 企画財政部 企画調整課 より説明)
- 運行の目的とこれまでの経緯
- 15年、野田市と関宿町の合併協議に際し、「新市まちづくり委員会」や住民懇談会などで、コミュニティバス導入の要望を受けた。関宿地区から市役所までのアクセスと同時に市内の交通の不便さを解消し、新市の一体感を増幅させるための事業として平成16年1月から運行を開始した。当初は3ルートで開始したが、現在は市内6ルートのたいへんきめ細かなコース設定となっている。現在までに人件費や燃料費の高騰があり、大変苦しい中での運行が続いている。現在は6,800万円の財政支出の範囲で実施している。市民からのルートや営業時間などについての要望は、大変多くなっている。(他は別紙参照)
- 運行形態
・運行業者 茨城急行自動車(株)
・協定内容 6ルート、平日75便/日、 土・日・祝日38便/日
・バス車両 市リース車両10台
- 特徴 名称
- バス車両 バリアフリー車でデザインがユニーク等。
- 料金設定 運賃は大人100円、小学生と障がい者は50円。乳幼児無料。
- 「一日乗車券」の発行 発行日当日限定で全ルート利用可能。大人200円、小人等100円。
- 運行時間の設定 路線バスとの競合を避け、およそ7:40〜20:00とする。
- 運行ルートの設定 市役所へのアクセスにまず配慮。その他公共施設や駅、病院、ショッピングセンターなどを運行ルートに取り組む。
- バス停の設置間隔 概ね300〜500mを目安に設置。
- 利用者の主な意見
・お年寄りや車を運転できない人に便利。
・買物、通院が便利。
・100円で気軽に乗れる。
・他の乗客とも和気藹々で良い。
- その他
・回数券を販売。定期券は取り扱わない。
・回数券の表紙3枚で枝豆をプレゼント・
・チョロQを限定発売。大人気。
・「豆バスポスター展」の開催。
- 今後の課題
上限額6,800万円以内での持続的な運行が困難となってきている。上限額も含め、H31年度からの新たな運行計画の見直しを行う必要がある。 - PR等。
【感想】平成15年の合併以降、特に市役所へのアクセスを始めとした市民の要望に対し、丁寧に答えようとする野田市の誠実な事業ぶりが分かりました。南北に長い地域に暮らす市民の皆様の交通の便に役立ち、同時に市の一体感を醸成するための事業ととらえました。「まめバス」は、野田市民の誇りです。とてもユニークで可愛らしい。走っているのを見ているだけで、うれしくなってしまいます。できれば市民の皆様に黒字になるくらいたくさん乗ってほしいのですが、ここは少々の赤字でも良しとしたいものです。別冊の「豆バスルート図・時刻表」を見ますと、感心するくらい、くまなく市内を循環しています。少々の時間的ロスはあっても、目をつぶりましょう。愛らしい「まめバス」が走っているこのまち野田市に愛着を持ってください。余談ですが、キッコーマン醤油(株)と提携して「まめバス」を走らせたら一石二鳥かと考えました。自然が数多く残されたまち、野田市の存在は貴重だという感想です。
※小林議員は、前日の研修には所要のため参加しておりません。
⑴生活困窮者自立支援促進事業について
●調査内容をどう評価するか
民生委員や関係各課団体からの情報提供を受け、対象者の状況に応じ、アウトリ−チや庁内での面談を実施した上で、アセスメントシ−トを作成し、相談者と相談しながら、個別支援計画を作成している。処遇困難を要するケ−スについては、各関係機関の有識者で構成する支援調整会議を実施して、個別支援計画の内容等を十分検討した上で、相談者にとって最適な計画となるよう努めている。小学生の学習支援は3、4年生から実施し、第1第3土曜日に開催して東京理科大の学生に指導を依頼している。それ以外にも、就労支援の取り組みとして、就労が可能かの医師判断のための通院同行支援、朝の定刻に来所させる就労意欲喚起支援や履歴書の書き方支援、企業との面接に向けての支援やハロ−ワ−クの同行支援、就職後の来所を促し近況を伺ったり、電話等による声掛け等の定着支援も行なっている。
今後の課題としては、相談者の傾向を詳細に分析して、生活保護に陥る可能性のある方を少しでも減少させることに繋げるかを見極めていくことが、重要である。
●本市に反映できると思われる点
本市でも野田市同様な支援事業を行なっていますが、必要なのは、生活に困窮している人が相談しやすい体制を整え、どこに相談にいけばいいのかをわかりやすく教えてあげることが、早期に支援でき解決に繋がっていくと思うので、今後も支援体制の充実を期待していきたい。
●その他(感想、意見)
誰もが生活困窮に陥るかもしれない恐れがある社会の中、生活に困っている人は経済的な問題だけでなく、身心の問題や家庭の悩みなどさまざまな問題を複合的に抱えている場合が多く、自立した生活が営めるよう支援していくことが、生活保護に陥らない為にも重要であり、今後もより一層の支援体制の強化を期待していきたいと思います。
⑵コミュニティバス「まめバス」について
●調査内容をどう評価するか
住民代表からなる「新市まち作り委員会」や住民懇談会などで、市民からコミュニテイバス導入に対する要望が寄せられ、関宿地域から市役所等の公共施設へのアクセス性を高めるとともに、公共交通不便地域の改善を図る為に、平成16年1月から運行を開始した。
運行計画作成については、準備調査を行いコイミュニティバス検討委員会を設置し、住民意見等を基に運行計画案を作成した。
平成20年秋以降の景気の低迷の影響による利用者数の減少や新型車両への切り替えに伴う燃料費の増大により、上限額6800万円以内での運行ができなくなったことから、基本的に利用者の利便性に配慮しつつ、抜本的な運行計画の見直しを行い、交通弱者と言われる方や、お年寄りの方が買い物しやすいような観点も考慮しつつ、平成23年4月1日から新ル−トでの運行を開始したが平成26年度の委託料は、消費税率の引き上げや燃料費高等の影響で上限額6800万円を上回ってしまったことから、契約の制度を改め、運行業者と協定を締結し、事業費は補助金方式により補助するものとした。
運行計画の見直しにあたっては、市民からの意見をできるだけ反映し、財源支出の上限額6800万円で行なうことを前提に、コミュニィテイバス検討委員会の意見を伺いながら行なっている。
●今後の課題
上限額6800万円以内での継続的な運行が困難となってきたことから、上限額の設定も含め、特に利用の少ないル−トの利用促進策の検討や市民から寄せられた意見・要望への対応やまめバスのPRが必要である。
●本市に反映できると思われる点
当市のようにある路線を往復するだけせなく、野田市のように、市役所や幅広い利用者を集める公共施設や駅、病院、ショピングセンタ−など運行ル−トに取り組むような巡回する路線の改革が必要である。
●その他(感想、意見)
市町で運行するバスについては、路線バスのル−ト以外で、市民の貴重な足として運行していく事は、利用率の確保が非常に大変であるが、今後も弱者の貴重な移動手段として検討していく必要があり、永遠のテ−マであると感じた。