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■令和元年度下期「建設経済委員会」行政視察報告(委員:遠藤久仁雄)

■視察先:愛知県庁/豊橋市 (2019.10.8〜9)  報告者:遠藤久仁雄
長野県庁
豊橋市

視察先1:長野県庁
視察テーマ:「信州プラスチックスマート運動」について

1 「信州プラスチックスマート運動」について
(1)長野県の概要とこれまでの取り組みについて
県面積は13,561㎢で全国第4位、8つの県に隣接し人口は206万人。県内には77の多くの市町村があり、10の地域振興局に分かれている。現在、県民一人一日当たりの一般廃棄物排出量は、4年連続で全国一番少ない県となっている。平成29年(2017年)度の排出量をもとに、令和2年(2020年)度には、一人一日当たり800グラムを切り795グラムを数値目標としている。そしてこれを「チャレンジ800ごみ減量推進事業」として全県下で取り組んでいる。その中で松本市発祥の「残さず食べよう!30・10運動」を県内に広め、食品ロスの機運を高めている。また、レジ袋削減県民運動も平成20年10月より始められており、長い歴史がある。そして令和元年5月からは、新たに「信州プラスチックスマート運動」を宣言し、プラスチックの再利用を進めながら、県民全体で海洋プラスチック問題を強く意識し、プラスチックの総量減少に取り組んでいる。
(2)「信州プラスチックスマート運動」の目指す取り組み
@ 県民の皆さんへは・・・『3つのC』を意識した行動を呼びかけている。
アChoice 意識して「選択」・・・「何気なく使っているストローやレジ袋は必要ですか?」
イChange 少しずつ「転換」・・・シャンプーや洗剤は、詰め替え用を使用。
「マイバック、マイボトルをお使いください。」
ウCollect 分別して「回収」・・・「必要なプラスチックは使ってもいいんです。
でも、使用後は必ず分別回収を!」
A 事業者の皆様へは・・・・以下の取り組みをお願いする。
アお客様への呼びかけ「レジ袋はご入用ですか?」「ストローは?」
マイバック、マイボトルを推奨し、ポイント付与など。
イ「信州プラスチックスマート運動」協力店への登録を呼びかける。
B 企業や農業者の皆様へは・・・代替プラスチック技術開発、事業展開
生分解性プラスチックの利用を促進
C 学びの場を創出・・・信州環境カレッジでの講座開催
親子参加型のヱシカル(倫理的・道徳的)教室開催
事業者セミナーの推奨
D河川一斉回収活動への参加・・・ボランティア参加で、河川の一斉回収を実施

2 本市に取り入れたい事項&感想
本市では7月に「廃プラ・食品ロス対策会議」を開催し、市長宣言を承認したが、その後具体的な進展が見られていない。大切なことは、この問題を市民全体に呼び掛け、いかに正しく理解し協力してもらえるかであると感じた。この事業の実現には、地球人としての立場から市民一人ひとりに訴えることと、市民の倫理観・道徳観をどのようにして醸成していくかである。「海なし県である長野県」が言っているような考え方が、われわれ藤枝市民にも同様に求められていると感じました。

視察先2:愛知県豊橋市
視察テーマ:豊橋市バイオマス資源利活用施設整備・運営事業について

1 豊橋市バイオマス資源利活用施設整備・運営事業について
(1)豊橋市の概要とこれまでの経緯
面積261.8㎢、人口37万7千人が暮らす都市である。下水道事業への取り組み
は古く、昭和10年に国内都市では4番目となる、当時日本一と言われた野田処理場の供用を開始した。豊橋市資源化センターは、市南部の海岸に近い場所に昭和55年4月に開設した。「ごみ焼却施設」と「し尿処理施設」が一体となっていたが、平成29年10月以前のバイオマス処理では、汚泥施設において下水汚泥を乾燥させ、肥料を生産していた。また一方では、し尿・浄化槽汚泥と生ごみを一緒に燃焼溶融させ、建築資材(溶融スラグ)を生産していた。
(2)新しいバイオマス資源の利活用等
平成29年10月から、新たに画期的なバイオマス処理が始まった。そこでは、
下水汚泥とし尿・浄化槽汚泥、さらには市内全家庭から分別回収された生ごみを混合させ、メタンガス発酵により再生可能エネルギーであるバイオガスを取り出す。そしてこれをガス発電のエネルギーとして利活用する。また、一方ではガス発酵後に脱水を行い汚泥物から石炭代替の炭化燃料を取り出し、これもエネルギーとして企業等へ売却し利活用している。このように市民が放出する下水汚泥、し尿・浄化槽汚泥、全世帯から分別回収された生ごみのすべてを、エネルギーとして利活用しており、理想的な処理センターだといえる。
処理場を見学させていただいたが、規模の大きさに驚いたのは勿論のことだが、広大な埋め立て地であり、付近に人家もないため、異臭等の問題も発生していないとのことであった。
なお、処理装置の中で特に注目したのは、生ごみ受入・前処理設備である。本市と同じく黄色い指定のビニール袋に入れられて回収された生ごみがパッカー車で運ばれてきて、この装置に搬入される。そして破砕分別機の中で大きなローラーの回転により一気に攪拌される。この時、円筒形のローラーの表面にある突起状の刃でビニールが避けるのだが、それがさらに遠心力で生ごみと分別され、専用の大きな筒のトンネルを通り回収される。これは不適物として、資源化センターへ運ばれる。さらに沈殿物除去層で卵や貝殻などが除去され、同様にセンターに運ばれる。最後に再利用可能なペースト状の純粋生ごみが、浄化槽汚泥等と共に混合層に運ばれる。

2 本市に取り入れたい事項
本市では、以前から苦労して生ごみの分別を行っている。現在およそ4分の1の
市民にまで拡大したが、この先の見通しがはっきりとしていない。しかも本市のやり方では、本当にすべての生ごみが堆肥となって利活用されているのか分かりにくい状況である。本市はすでに城南の浄化センターでメタンガスを発生させ、これを業者に売って、年間2千万円ほどの収益を上げている。市はディスポーザーで下水管に生ごみを流すことを奨励しているが、豊橋市のように全家庭から生ごみを分別回収し、利活用するのが理想である。しかし、本市で実施するためには、中間処理施設を建設しなければならず、下水に生ごみを放り込むには、施設の用地確保や異臭問題、現在の下水管の流量の規模等、多くの問題点が浮かんでくる。