視察先1:千葉県船橋市
視察テーマ:防災備蓄センターの機能と役割について
@取組の経緯・内容
防災備蓄センター概要
【建物】鉄筋コンクリート2階建 延床面積1,232.74u
(運動公園広場隣接:約10,000u)
【施設】@倉庫:約800u。2lペットボトル約30万本備蓄可能。
A車庫(給水車2台、地震体験車を格納) B会議室(120u:60名収容)
C屋上(ヘリサイン・自家発電機:軽油/72時間運転可)
【機能と役割】備蓄、集積・搬送の拠点。
屋上にヘリサインを整備。救助や物資搬送の際の目印として機能。
また、隣接の行田運動広場は他県からの緊急消防援助隊の拠点スペースとなる。
【立地】市の西部に位置し、県緊急輸送道路を結ぶ、市緊急道路隣接。
A今後の課題
施設の直接の課題ではないが、船橋市では自治体への参加率が60%台と低いことと自主防災の主要メンバーの高齢化によって自主防災の力が弱まっており、有事における共助体制に課題がある。
B本市に反映できると思われる点また、参考になった点
備蓄の機能だけでなく集積基地、搬送の拠点、また援助隊の拠点スペースとなるなど複合的な機能を1ヶ所に集積することで、より効率的な防災救援体が達成できる。このような「複合機能化」は効率的かつ迅速な災害対応のためには有効である。
昨年、関東の大都市合同の訓練があり、本センターで大量の救援物資の物資輸送の訓練があったとのこと。大量の物資を「さばく」ことの訓練は有用だと思う。
運動公園のような広い土地が隣接していると有事の際に避難者の受け入れ、トラック、消防車、救急車、大型重機の一時受入れなどの柔軟な対応が取りやすい。藤枝でも運動公園に隣接して同様の備蓄センターを設置することが考えられる。
ただし機能の一極集中はそこが被災した場合に多くの機能が失われることにもなる。集中化と冗長化(バックアップ体制)を併せ持つ体制が望ましいと考える。
Cその他(感想、意見)
・消防・救急も含めた総合的な視点から鑑みると、志太広域合同でこういった施設を考慮するのが望ましい。
・自家発電機の燃料が軽油であることは重油の利用よりも入手性は勝ると思う。考慮したい。
・救援物資が集積し、それを適時に需要のあるところへ届ける、という訓練をしておきたい。
視察先2:千葉県千葉市
視察テーマ:ちばレポ(千葉市民協働レポート)
@取組の経緯・内容
【概要】
地域の課題を、スマホなどを使って市民がレポートすることで市民と市、市民と市民の間で課題を共有し、合理的・効率的に解決することを目指す仕組。
【コンセプト】
@地域における課題発見
A市民によるレポート(スマホアプリ:スマホのGPS機能を使った写真レポート)
BWeb公開 / C仕分け →ちばレポ業務管理システム(統合CRM)
D市民協働による解決 、または行政による解決
【効果】
@地域課題がオープンに(市民、行政が課題を共有→データベース化)
A市民の意識の変化: 街を意識する動機、街をよくしたい行動に発展
B市民と行政の協働の機会づくり
C行政運営の効率化
【現状】
・レポート:
こまったレポート(公共施設の不具合など):5年で累計7,748件
テーマレポート(市のテーマに沿って:課題発見解決/話題発見共有):累計1,900件
かいけつレポート(自主的に解決したことをレポート):累計1,739件
・レポーター(アプリ利用者):3/31現在5,626人;76%が30歳代から50歳代
・サポーター(市民協働による解決する):約2,500人(レポーターに含まれる)
A今後の課題
・レポーター/サポーターは全市民の1%にも満たない。多くの市民が参加する活動にしたい。
・登録者のなかでアクティブユーザーの比率が低い。
・市民協働の定着/活性化:地域団体との連携、アクティブシニアの積極参加など。
B本市に反映できると思われる点、また、参考になった点
㋐.市内の細かい課題を市民が気軽にレポートできる仕組(携帯アプリ)は有意義と思われる。
㋑.上がったレポートを行政/市民共有のデータベースとして地図上で閲覧できることは便利で利用価値がある。
上記㋐㋑を取り込んだシステムソフト(プラットフォーム)がMCRとして開発/運用されていて、有用そうである。導入を考えたい。(利用料:藤枝の人口規模で52.5万/年)
Cその他(感想、意見)
・活動自体は大変に興味深く、一定の効果を上げていると思うが、いかんせん普及度が低く、知名度も低いのであろう。残念なところである。
・レポーターが30歳代から50歳代が中心の年齢であるということが興味深い。スマホ親和性と相関しているのであろうが、自治会活動などで必ずしも露出の多い層ではないことから、自治会の地域活動を補完するような機能が生じてきて有効に思う。
視察先3:千葉県我孫子市
視察テーマ:提案型公共サービス民営化制度について
@取組の経緯・内容
【概要】
市の全事務事業を公表し、民間から委託/民営化の提案を募集し、有効であれば委託/民営化する取組。またこの制度の大きな成果に「公共施設の包括管理」がある。
【構成要素とプロセス】
・事業リスト:行政評価票の事業名、事業内容、事業費、人件費などを一覧に。
・団体:民間企業、NPO、市民活動団体など故人を除くすべての団体
・内容:新たな工夫で市が実施するより市民になる提案に限る。
・審査委員会:常任委員(非職員)と専門委員(専門家、受益者)からなる審査委員会。
・審査基準:新た独自性、市民の利益、団体の能力、実現性。
・採用提案の扱い:随意契約で委託、原則3年間。
・採用までの流れ:7月初旬事業リスト公表、提案から採用/契約は9月末までに決定。
(翌年予算に反映する)
【公共施設の包括管理】
[課題] 種々の公共施設はおのおの管轄部署が異なり、これら施設のメンテは煩雑。
[採用された提案]「公共施設保全計画」を策定することで、統一した効率的かつ
スピーディなメンテ・修繕ができる。
→現在94施設、32業務を包括管理。また施設を一括したデータベースで管理可能に。
A今後の課題
・NPO、ボランティア団体が高齢化していて担い手不足に陥りつつある。
・市民団体からの提案が減ってきている。
B本市に反映できると思われる点、また、参考になった点
・「提案型公共サービス民営化制度」は行政のオープン化という意味で魅力的であった。予算決定に民間提案が反映されていくことが興味深い。予算策定プロセスに組み込まれたスピード感にも価値があると思う。本市に適応するためには、状の体制を大きく改変する必要があり、実現にはかなりハードルがあるように思われる。我孫子市では市長の強い思いによって達成されたとのことである。部分的にでも民間公募を取り入れていくことを検討したい。
・「公共施設の包括管理」は大いに有用な取組である。ただし採用に当たっては独占的な利権にならないような運用が望まれる。
Cその他(感想、意見)
・視察のメインは「提案型公共サービス民営化制度」であり、大いに参考になったが、制度の大きな成果である「公共施設保全計画」の説明に多くの時間を割いていただき、こちらにも強い感銘を受けた。
・本制度のもとで行政の業務の多くが民間委託になることになるが、例えば個人情報管理の方法、委託業者の労働条件の適正化など「委託にまつわる課題」が生じ、これらに関する配慮も重要になってくるように感じた。