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■平成30年度上期「総務文教委員会」行政視察報告(委員:増田克彦)

■視察先:日田市/朝倉市(2018.7.25〜26)

視察先:大分県日田市
視察テーマ:小中学校の授業時間を確保するための夏休みの短縮について


1 取組の経緯・内容
H24年度:
新学習指導要領が実施となり、学習内容が時間内にこなせないことから、十分な授業時間を確保するために教育委員会、校長会・教頭会、PTAで検討会を編成し、検討を開始。また、この年パブリックコメントも募集している。
H25年度:
検討会による検討の結果30時間程度が適切と判断した。この30時間(5日間)をどのように確保するかの検討もし、夏休みの最終週8月25日から1週間を授業に充てることに決定。
各種夏休み行事の日程調整も開始。
H26年度:
2学期の開始日を8月25日として実施。充分な授業時間をとれるようになったことで
・生徒の学力向上/行事や学級活動の充実/子供に向き合う時間の確保
が達成できた。
 

2 今後の課題
・夏休みの市以外の主催によるスポーツ/文化行事が登校日と重なることがある。
・夏休みならではの子供の体験の機会が減少する。
・夏休み中の教員の業務に制約が出る。
・他市町村と足並みがあっていないと生徒/教員ともに不都合がある場合がある。
 →中津市、大分市なども近隣市も追随しており不都合は解消の方向にある。
 

3 本市に反映できると思われる点
・授業時間の確保に夏休みを短縮することは取り入れるべき施策と思われる。
・実施に当たって、事前に近隣市町との調整、県教育委員会、スポーツ行事、教員研修などとのすり合わせを十分に行ったことで順調に進めることが可能であった。この点は本市における導入においても大いに参考になると思う。こうした、準備に要した期間についても参考とすべきであろう。
・「検討会」を設置して教育委員会、教員、PTAなど各セグメントに対するコンセンサスのとりまとめを図ったことも重要な点と思われる。
・小中学校のエアコンをすべて完備していることもスムースに移行できた要因のひとつである。本市における取組にあたっても必須条件であろう。
 

4 その他(感想、意見)
・夏休み短縮にあたって周到に各種の準備をしたことで比較的スムーズに移行できていたように思われる。具体的手法について参考になる点が多いと思う


視察先:大分県日田市
視察テーマ:九州北部豪雨災害の対応について


1 取組の経緯
・内容
H29年7月5日 1日降水量336mm (局部的には500mm超の個所もあった模様)
 いわゆる線状降水帯が発生し、長時間にわたり豪雨が続いたものである。
【被災状況】人的被害 死者3人 負傷者4人
      全壊家屋:46棟 半壊家屋:271棟 (住家のみ)
      床下浸水:826棟 床上浸水:150棟
      道路被害:96件 河川被害:312件 森林被害:2,633件 (罹災証明発行数)

  • 花月川周辺 市中心部で河岸が大幅に崩壊。家屋浸水多数。JR橋梁流失(流木による倒壊)。
  • 小野地区 大規模な山腹崩壊による河川塞き止め(土砂ダム)。
  • 大鶴地区 山腹崩壊、橋梁流出、家屋流失、流木による家屋倒壊など。
 
2 今後の課題
・H24年に豪雨があり、その復旧が進んでいたなかで5年前の豪雨を大幅に上回る再びの罹災であり、いわゆる「復旧」の対策では全く十分でなかったことが明らかになった。今後の対策としては「改良修復」が必要となる。このための財源確保も課題である。
・被災地域の山地は花崗岩の土質で雨水により流出しやすい。また人工林のため植生である針葉樹は根が浅い。この2つの要因から山腹崩壊が起きやすい状況にあった。今後は人工林であっても広葉樹などの植林を考慮する必要があるということである。ただし国内で林業自体が産業的に衰退する中で、将来の採算性を見込める計画的植林も困難が伴うものと思われる。
・山肌の露出した山腹は当面安定化ができておらず、土砂の流出が続く状況にあり、今後も降雨があれば雨量によっては甚大な被害が懸念される。
 

3 本市に反映できると思われる点
・1日に500mmの豪雨があれば本市山間部、河川流域でも同様の災害となる可能性がある。昨今の異常気象を鑑みるとこのような度外れた豪雨は全国どの地域に起きても不思議ではない状況である。事前対策は十分にしておくべきであろう。本市において特に山間部の人工林、急斜面地区、瀬戸川の護岸などにおいて、通常の雨量を大幅に超える場合を想定した対策を願う。
・CATV網を、市街部は民営により、中山間部は市営で整備し、災害情報などを一元化して全市内に発信している。これにより行政情報をリアルタイムに市民に届けることができる。このようなシステムを本市でも導入できれば適時の避難が可能になり有意義と思う。
 

4 その他(感想、意見)
・小野地区の山腹崩壊の現地視察では崩壊の規模の大きさに驚かされた。本市でも大雨が降れば同様の被害か起こりうると考えると事前の対策は急務であると感じた。
・朝日新聞によると、この小野の山腹崩壊は表層土だけでなく深い岩盤まで崩れる「深層崩壊」であった可能性があると九州大学名誉教授の小松利光の指摘があったとのこと。このような今までに例を見ない種類の災害への予防についても考慮の必要があることを痛感した。
・今年も中国/四国で豪雨による大きな被害があったところであり、本市にあってもいつ同様な気象に見舞われるとも限らない。他山の石として気持ちを引き締めたいところである。



視察先:福岡県朝倉市
視察テーマ:九州北部豪雨災害の対応について


1 取組の経緯
・内容
H29年7月5日 9時間で774mmという豪雨を観測。いわゆる線状降水帯が形成・維持され、長時間にわたり豪雨が続いたものである。参考: H24年に72時間に681mmという雨量を記録。
最大時間雨量は124mm/hr。(ある小学校の計測では137mm/hrの測定限界を超えたとのこと)
【被災状況】人的被害 死者33人 行方不明2人 負傷者2人
      全壊家屋:260棟 半壊家屋:782棟 (住家のみ)
      流出土砂:約1,000万㎥ 流木(撤去分):約21万㎥ / 総被害額 1,941億円
 

2 今後の課題
・H24年の豪雨の復旧が進んでいたなかで5年前の豪雨を大幅に上回る再びの罹災であり、いわゆる「復旧」の対策では全く十分でなかったことが明らかになった。今後の対策としては「改良修復」が必要となる。このための財源確保も課題である。
・H24年豪雨の折に2階への「垂直避難」で難を逃れた方々が、今回は同様に2階に避難し家ごと流され罹災されたという痛ましい件があった。雨量の予測とそれに対応した適切な避難情報の伝達と避難実行が必要とされる。
・被災地域の山地は花崗岩の土質で雨水により流出しやすい。また人工林のため植生である針葉樹は根が浅い。この2つの要因から山腹崩壊が起きやすい状況にあった。今後は人工林であっても広葉樹などの植林を考慮する必要があるということである。ただし国内で林業自体が産業的に衰退する中で、将来の採算性を見込める植林の計画にも困難が伴うものと思われる。
・山肌の露出した山腹は当面安定化ができておらず、土砂の流出が続く状況にあり今後も雨量によっては甚大な被害が懸念される。
・大規模の流出土砂により河川の位置が変わってしまって公図の引き直しが必要とされる地域もあるため、住宅新築の許可が不可能となっていて復興を妨げている。
 
3 本市に反映できると思われる点
・1日に500mmを超える豪雨があれば本市山間部、河川流域でも同様の災害となる可能性がある。昨今の異常気象を鑑みるとこのような度外れた豪雨は全国どの地域に起きても不思議ではない状況である。事前対策は十分にしておくべきであろう。本市において特に山間部の人工林、急斜面地区、瀬戸川の護岸などにおいて、通常の雨量を大幅に超える場合を想定した対策を願う。
・バイオマス発電が盛んな地域で、流木を燃料として利用できるメリットがある。バイオマス発電の導入は一考の余地があるものと思われる。
 

4 その他(感想、意見)
・現地視察では崩壊の規模とそれに伴う地形の変化の大きさに驚かされた。本市でも大雨が降れば同様の被害か起こりうると考えると事前の対策は急務であると感じた。
・今年も中国/四国で豪雨による大きな被害があったところであり、本市にあってもいつ同様な気象に見舞われるとも限らない。他山の石として気持ちを引き締めたいところである。
・自治会内の避難情報伝達が順調な地域では人的被害はごく小さく抑えることができたとのこと。地域互助の重要さが痛感されるとともに、本市においても自治会の互助活動の活発化を進めることに努めていきたいと感じた。